ITで顧客の声を社内共有 業務プロセス・組織の切れ目をなくす(前編)

瀬尾英一郎(月刊ソリューションIT編集部) 2004年09月21日 13時00分

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基幹系のデータを一元管理、意思決定支援に活用する

 「ITでコムシスを変えていくんだ!」

 当時社長だった武内宏允会長から号令がかかったのは3年前だった。同氏はNTTドコモの副社長を務めていた時代に巨大システムの構築に携わった経験から、経営改革においてITがいかに有効かを熟知していた。コムシスでもITを導入することでBPRを実践。業務、ルールそして社風までも変えていこうというのだ。そして2年をかけて完成させたのが「COMFORCE」システムだ。営業から見積り、受注、施工、アフターフォローの各業務を支援し、さらに経営者の意思決定に必要な情報を提供する、フロント業務全般をサポートする巨大システムだ(図1参照)。COMFORCE推進担当の熊谷仁担当部長が中心となり上流の要件定義を固め、IT推進本部IT戦略システム部門の藤本晴彦担当課長が、システム開発プロジェクトを率いた。

図1

図1 COMFORCEシステム概要

 COMFORCEは大きく、営業系と積算系、施工系、経営管理系の4つに分かれている(図2参照)。

図2

図2 データフロー概要

 営業系システムは、営業担当者の商談プロセスを管理するのが目的だ。案件と活動状況を逐一入力。上司は、担当者が今抱えている商談と、それぞれの進捗具合を適宜把握できる。もし滞っている案件があれば、指導や助言できるわけだ。

 積算系システムは、「今までの事業のノウハウを蓄積した、まさにコムシスの『コア』とも言うべき部分です」(熊谷担当部長)だと言う。

 いかに正確な見積りを短期間で出せるかで、商談の行方が大きく左右される。高ければ受注できず、低過ぎては利益が薄くなる。ゆっくり算定していては競合他社に取られてしまう。原材料の調達金額にも影響されるため、最新の原価情報を収集しておく必要もある。原価調達室と購買部、積算室、営業部が一体となって、見積り額を算出する必要があるわけだ。COMFORCEは部門間の情報共有と共同作業を円滑化する。

 受注が確定すると、いよいよ施工に入る。施工系システムは、(1)営業情報参照、(2)実行予算作成、(3)資材購買、(4)外注契約、(5)作業指示/作業報告、(6)工事進捗管理/最終着地見込管理、(7)自主点検/検査といった7つの機能を持つ。

 営業マンから工事担当者への要件情報トスに始まり、必要な資材の発注、デジタル写真による工事管理やリアルタイムの利益管理といった業務を担う。

 工事が完了したら、原価情報を営業系システムにフィードバック。次回の見積りの際に参考データとして参照できるようにする。

 これらのシステムで利用する受注や工事関連、外注契約といった情報は、すべて中央のDBに格納されている。データが一元管理されているため、部署間で容易に情報を共有できる。データの不整合も発生しない。営業と設計、施工の担当者間で共有の必要がある情報は、システムから確実にトスされる。情報の抜け落ちや伝達ミスを防げるため、商談プロセスにおける手戻りを低減できる。

 経営管理系システムは、いわゆる「管理会計システム」だ。前記の3システムで発生する実績情報は、毎日同システムに反映されている。目標と実績、予測を一元管理しており、現在の経営状況を容易に把握できる。

 これまでコムシスには、意思決定のための有効な仕組みがなかった。「箱」売りの商品を販売する業種と比較し、建設業は日々の経営状況を把握するのが困難だ。そのため担当者がいくつもの帳票を突き合わせてデータを加工し、半月遅れの管理資料を作成するのが精一杯だった。

 今回、詳細かつ正確な実績データや見積りデータをリアルタイムに取得できるようになった。そのため、管理資料の作成が自動化され、朝出社した時点で、前日までの状況が一目で把握できる。結果として、問題の発生から原因の追及、対策実行といったアクションが迅速にとれるようになったという。

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