プラットフォーム化推進でサーバ市場でも機能セットをブランド展開--インテル - (page 3)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:野田幾子、写真:津島隆雄

2005-04-07 10:00

複数のコアを持つCPUの意義とその展開

--インテルは現在、1つのCPUに複数のコアを載せるデュアルコア、マルチコアの開発を重視しています。15件のマルチコアプロジェクトが進行しているそうですが、これらがビジネスコンピューティングの世界に何をもたらすのでしょうか。

 サーバもクライアントも、マルチスレッド環境は変わらないと思います。ただ、企業向けサーバの場合、それらのスレッドをいかに効率よく走らせるかという要求がよりシビアです。

 また、企業システムのサーバは多様なアプリケーションに対応しなければなりません。そうなると、対応力を高めるためにヘッドルーム(アーキテクチャが耐えられる周波数上限の余裕)が重要になってくる。ですから現時点ではPentium4でも十分処理できる範囲での利用方法だとしても、生産性を上げるためにどんなアプリケーションが搭載されてもいいように、余裕を持っておく必要があるのです。デュアルコアはシングルコアに比べてパフォーマンスの向上を非常に意識しています。つまりは、企業側が高パフォーマンスの製品をどう使っていくかということではないでしょうか。

 マルチコア化のほかにも、企業向け製品で大切にしている技術はいくつかあります。仮想化はその一例で、サーバ内のリソースを分割し、それぞれの領域で独自のOSやデータベースが同時に駆動するための技術です。

 AMTは、システムの状態やユーザー操作に依存することなく統合的に企業情報システムを管理するための技術的基盤です。AMTで実現されるような共通のプラットフォームで、個々の構成に依存せずに、一方が壊れても片方はセーフブートできるといった企業から見て安全な環境を作るメカニズムを展開することが可能になります。

 コンピュータ間に共通のインターフェースと言語が確立されていれば、AMTのような技術が重要になると考えています。既存の技術資産を継承してエンタープライズアーキテクチャを実現するためには、はじめからこうした意識を持った投資をすることが重要です。デュアルコア、マルチコアはこうした視点にたったときに意味を増すでしょう。今後のEA浸透に合わせてそうした技術を確立していきたいと思っています。

--性能の向上に伴い、価格も上昇するのではという懸念があります。きちんとROI(投資回収率)に効いてくるのでしょうか。

 インテルのデジタルエンタープライズ領域の目標は「顧客の事業の成長(グロービジネス)」です。売り上げを伸ばすという観点も大切ですが、新技術をユーザー企業に取り込んでもらい、競争力のある社内インフラを構築してもらうことに重点を置いています。そのときに大切になるのが「ローリスク」。ソリューションの選択肢が広がるにつれて、導入したはいいが機能しない、というケースも見受けられますから。

 もう一つのミッションが「ローコスト」。あまりにも高いものはユーザーに受け入れられませんから、トータルでコストを意識した展開を考えています。システムのコスト、CPUのコストといろいろありますが、最終的には非常に効率のよいシステムを構築するためのTCOが以前のコストよりも魅力的であることが肝心ではないかと思います。

吉田和正 氏
インテル 代表取締役共同社長
インテルコーポレーション セールス&マーケティング統括本部副社長
1984年、インテルコーポレーションへ入社。同社のOEMプラットフォーム・サービス事業部長 兼 アカウント・エグゼクティブ、同エンタープライズ・サービス事業本部 技術/OEMアライアンス事業戦略部長などを歴任。その後もインテル 通信製品事業本部長、インテル・アーキテクチャ営業統括本部長を経て、2003年6月に代表取締役共同社長に就任。2004年12月より、米インテルコーポレーション セールス&マーケティング統括本部副社長を兼任。

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