「一太郎ショック」で鳴り響くソフトウェア産業への警鐘

別井貴志(CNET Japan編集部) 2005年02月03日 00時11分

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問い合わせ殺到で株価もストップ安

 世間的には“寝耳に水”といった感が強かったが、ソフトウェアの特許権侵害問題を受けて2月2日には各方面で「一太郎ショック」が走った。

 ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」とグラフィックソフト「花子」が、松下電器産業の特許権を侵害しているとして、松下がジャストシステムを相手に同製品の販売差し止めなどを求めていた訴訟で、東京地裁は松下の請求を認める判決を2月1日に下した。

 問題となった特許は「情報処理装置及び情報処理方法」(特許番号2803236)で、松下が1989年10月31日に特許出願し、1991年6月20日に公開、1998年7月17日に成立・登録された。簡単に説明すると、この特許はDTPやワープロソフトなどにおいて「ヘルプ」アイコン(第1のアイコン)にマウスカーソルを持っていってクリックしてから、機能を調べたい別のアイコン(第2のアイコン)にカーソルを移動させてクリックすると、その第2アイコンの機能の説明が表示される仕組みのことだ。

 判決では両製品の製造や販売の禁止、在庫の廃棄が命じられたが、松下側が求めていた仮執行宣言は見送られている。したがって、すぐにも両製品が販売停止になることはない。また、ジャストシステムは2週間以内に控訴するかまえで、実際に控訴すれば今回の判決は確定しない。

 そのため、2月10に発売を控えている最新版の「一太郎2005」と「花子2005」は予定通り発売する。判決が下された2月1日にジャストシステムは、2004年4〜12月期決算を発表しており、経常利益が16億4700万円の赤字だった。しかし、予定どおり新製品を発売するなど、今回の判決によって大きな影響は出ないと見ているため、併せて発表された2005年3月期通期の経常利益は500万円の黒字予想と、従来からの予想を変えていない。

 ちなみに、ジャストシステムと松下は間接的にパートナー関係にある。ジャストシステムは、松下の完全子会社であるパナソニック ソリューションテクノロジーとナレッジマネージメントシステムの「ConceptBase」でパートナーシップを結んでいるほか、簡単に一太郎文書に変換できるOCRソフト「一発!OCR Pro3 for 一太郎」の開発、販売でも協力している。そして、同ソフトの最新版も予定どおり2月10日に発売される。

 一方の松下でも「マスメディアからの問い合わせが集中するなど、これほど大騒ぎになるとは思わなかった」(広報)とし、判決に関して「主張が認められた結果だと考える。なお、今後の展開については見守っていきたい」という声明を出した。

 こうした反応を映し、ジャスダック市場で取引されているジャストシステムの株式は、2月2日の取引開始直後から売り注文が殺到して値が付かない状況が終日続いた。大引けでは、値幅制限の下限でストップ安にあたる前日比100円安の500円で売買が成立した。

(1)枠で囲んである部分が問題となった一太郎のアイコン。今回と同様に2003年8月に松下から提訴された際には、この部分が「?」マークだけで「マウス」の絵はなかったため、アイコンとは認められずに2004年7月の判決では松下の訴えが退けられた。

(2)アイコンをクリックするとマウスカーソルに「?」マークが出現

(3)機能を調べたい部分へマウスカーソルを移動してクリックすると、その機能が説明される

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