FCC、付帯サービスなしでのDSL回線提供義務づけを差し止めに

Ben Charny (CNET News.com)

2005-03-28 13:27

 米国の複数の州で、通信事業者に対して付帯サービスなしのDSL回線提供を義務づける判断が出され、大きな議論を巻き起こしているが、米国時間25日にはじめてこの問題を本格的に検討した米連邦通信委員会(FCC)では、この判断を差し止める決定を下した。

 これを受け、加入者電話回線など別のサービスと抱き合わせずに、ブロードバンドアクセス用DSL回線を販売することについての調査が始まる。

 フロリダ、ジョージア、ケンタッキー、ルイジアナの各州の公益事業委員会は、BellSouthに対し、ほかの電話事業者にDSLサービスを提供する際に、自社の市内電話サービスと切り離すことを義務づける判断を下していた。しかしFCCは、この判断の差し止めを3対2で可決した。これらの州では、これまで両サービスが別々に提供されることはなかった。

 FCCのこの決定は、付帯サービスの付かないDSLの普及を目指して、同様の規制導入を検討している他州の公益事業委員会に対し、強力なメッセージを送ることになった。BellSouthをはじめとする地域電話会社4社は、付帯サービスなしのDSL関連の規制が州ごとに異なると、米国におけるブロードバンドの成長が鈍化し、サービスや基盤ネットワークに対するBellSouthの投資意欲が減退すると警告していた。

 これらの規制を提案する側では、付帯サービスなしのDSL提供を義務づけることで地域電話会社に対する抑制効果が生まれることから、業者間での競争が促進され、ブロードバンド料金を比較的低額に抑えることが可能になると主張している。一方、BellSouth側は、複雑に絡み合った規制制度を作らないほうが市場のためだと述べている。

 BellSouthの官公庁渉外担当バイスプレジデント、Jonathan Banksは声明のなかで、「今回のFCCによる命令は、ブロードバンドサービスの展開にとって足かせとなっている規制面の問題を解決するものといえる。FCCが、この分野に関して全国共通のポリシー策定を求めたことにより、消費者に固定電話ネットワークを使った新しい革新的なブロードバンドサービスを提供するスピードが加速し、その効率性も高まることになるだろう。この命令は、大統領の掲げるブロードバンドの導入拡大という目標の達成に向けた重要な一歩である」と述べている。

 これら4つの州にはBellSouthのDSLを利用する家庭が8000世帯あまり存在するが、これらの家庭へのサービスが今後どうなるのかについて、BellSouthの広報担当からコメントを得ることはできなかった。

 FCCによる今回の決定は、このほか、加入電話を契約せずに携帯電話だけを利用する「コードカッター」にも影響を及ぼすことになる。全米に約2000万人いるコードカッターがDSLを利用したいと考えた場合に、固定電話に加入しなければならなくなる可能性があるためだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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