サンが目指すユーティリティコンピューティングの新次元 - (page 3)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:奥隆朗(編集部)、写真:津島隆雄

2005-04-01 00:00

--サンは独自開発を進めると同時に、昨年、富士通と共同でAPL(Advanced Product Line)と呼ばれる協業を発表されました。

 富士通とのパートナーシップは、うまくいっています。APLでは、開発・製造を共同で行いますが、市場において高い競争力を持つものとなるでしょう。

 現在、サンにはCMT(チップマルチスレッディング)をベースとしたSPARCプロセッサに加え、そして富士通との共同開発するAPL、サンに特化されたAMDプロセッサ、さらにインテルベースのプロセッサへの対応も続けていきます。これらをセグメントごとに効果的に投入していきます。

 このように、すべてがAPLで開発・生産されるのではなく、APLはSPARCの一部のラインを占めるものとなります。次世代のSPARCなどは、サンが独自に開発していきます。

革新的な製品によってオープンソースをリード

--最後に、オープンソース化することは業界にはメリットをもたらします。ただ、開発の主導がサンではなく、オープンソースのコミュニティに移行してしまい、競争力の低下が生じる可能性も拭えないのではないでしょうか。

 各種の技術をオープンソース化するといっても、すべてを開示するわけではありません。むしろ、セキュリティなどの部分については、日米問わず政府から開示するなとの要請もあります。開示しない特定のIP(Intellectual Property:知的財産)の部分を発展させるのに加えて、革新的な製品を生み出せれば、サンが差別化でき、リードしていくことが可能です。そのためには、できるだけR&Dに多大な投資をしていくことが必要です。

 実際にサンがJavaを公開したことによって、数億台のPCや携帯電話のアプリケーションプラットフォームとしてJavaが利用されるようになりました。IPを閉じこめないことが業界全体の発展につながったのです。一方、クローズドな技術で成功を収めた唯一の例がマイクロソフトですが、これはほかの追随がなく、デファクトスタンダードに変わることができたためです。しかし、今後は、こうした完全なクローズドなビジネスモデルは崩壊していくものだと考えています。

 水道水があるのにミネラルウォーターのビジネスが成り立つように、オープンソースの中にあっても、ほかとの差別化が図れれば、ビジネスはうまくいくと考えています。そこに勝機があると考えています。

ダン・ミラー 氏
サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長
1984年コロラド大学卒業後、米NBIに入社。1988年に米サン・マイクロシステムズに入社後、2000年に同社グローバル・サービスプロバイダー・ストラテジーグループ担当バイス・プレジデントに就任。2001年より同社グローバル・セールス・オペレーションズ テレコミュニケーション米国市場担当バイス・プレジデント、2003年よりサン・マイクロシステムズ代表取締役社長と米サン・マイクロシステムズ バイス・プレジデントを務める。

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