ITのトレンドの中でいかに市場を創造するか
新たな付加価値を創造するというコンセプトに基づき、まず発表したのが「セキュアクライアントソリューション」です。
2004年は、セキュリティに翻ろうされた1年だったといえるでしょう。個人情報の漏えいやウイルスなど、大きな事件が報道されました。セキュリティ対策はソフトやPCメーカー単独で対処することは不可能です。では、こうしたセキュリティのトレンドの中でどのような付加価値を生み出すことができるか。それがセキュアクライアントソリューションです。
2004年に発表した生体認証技術もその一環です。個人認証の仕組みとして、ID番号やパスワードだけでは不足といわれていますが、では個人を特定するのに最適な手段は何でしょうか。それが、各人が持っている指の静脈を使った「指静脈認証装置」であり、「指紋認証システム」などです。これらの生体認証技術とICカードを組み合わせることで、より強固なセキュリティが実現できるでしょう。
また、個人が特定できても、PCの盗難や置き忘れといったリスクは避けられません。そこで最近発表したのが、ハードディスクレスのPC「FLORA Se210」です。ハードディスクがないため、情報を手元に置いておくことができなくなります。クライアント側にはシトリックス システムズの「MetaFrame」を通じてアプリケーションやデータにアクセスします。
もちろん、使い勝手の面からいうと、やはり従来のように自由にデータやアプリケーションを扱えるわけではないので、最初は不満もあるでしょう。とはいえ、セキュリティ対策の必要性が大きく叫ばれている現在、こうしたソリューションが有効であることも事実ですし、実際に社内にFLORA Se210の導入を進めています。完全置き換えというわけではありませんが、このソリューションがもたらす付加価値を自社で検証し、提案するという姿勢に変わりはありません。
このように、2005年は「情報漏えい元年」や「生体認証元年」など、セキュリティ意識改革元年といわれる年になると思います。こうした世の中の流れを先取りし、それに適したソリューションを出すことで個人や企業、公共の付加価値を上げ、バリューチェーンを形成していく。それが日立の役目です。