64ビットの旗手が仕掛ける次の一手--日本AMD - (page 2)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:岩崎史絵、写真:津島隆雄

2005-04-08 10:00

AMDが企業システムにもたらす6つのメリット

--ハードウェアから見たセキュリティ対策という技術もエンドユーザーにとっては非常に大きなメリットになりますね。そのほかはいかがでしょうか。

 64ビットの次はデュアルコア/マルチコアの時代がやってきます。CPUを倍加することで、より高性能で高可用性のシステムが実現できます。特に処理性能については、圧倒的なパフォーマンスが期待できるでしょう。

 ただし、ここで忘れてならないのは消費電力の問題です。特にオフィスビルなどでは、電力の割当量が決まっているので、「パフォーマンスやセキュリティが向上するのはいいが、その分電力増になっては困る」という問題が発生します。AMD OpteronではCPUの機能として消費電力や冷却負荷を抑えるAMD PowerNow! テクノロジを実装しています。これにより、Opteronを導入すると、同じ消費電力ならより性能が向上し、同じ性能なら電力の消費量が少なくて済む、という二重のメリットをもたらすことができました。

 繰り返すと、われわれAMDのテクノロジーにより、ユーザー企業は「32ビットから64ビットへのスムーズな移行が可能になること」「64ビットになると扱えるデータ量が格段に向上すること」「仮想化技術においても最高のパフォーマンスが実現できること」「デュアルコア/マルチコアへの対応」「電気消費量の問題を解決」「セキュリティ」という6つのメリットを享受できるわけです。

エンドユーザーの視点で高度な技術を提供

--製品技術のほか、ビジネス的な施策としてはどのような戦略を考えていますか。

 まずはIAサーバベンダーへのサポートが挙げられます。具体的には、技術的なサポートやベンチマークの提出など、客観的な資料や情報を提出し、パートナーになっていただきます。ただし、単に技術資料や情報を提出するだけではなく、「これはいい」という具体的なモデルを提示することが重要だと考えています。例えて言えば、無線ラジオを作るようなものですね。だれかがよいモデルを作ると、それに習おうとする。ビジネスもこうしたことが生きていると思います。そこでわれわれは、例えば省電力の仕組みや技術、高可用性といったモデルを提示するわけです。

 これと同時に、エンドユーザー自身の声に耳を傾けることが挙げられます。もちろん私自身、積極的にユーザーさんを回って、いろいろなご教示をいただいています。「いままでと同じ消費電力でこれだけパフォーマンスが出る」「これだけコストメリットが出せる」といったことを説明し、実際にお使いになっているユーザーさんからのリクエストを受ける。これをいかにフィードバックし、次につなげるかが重要です。そこでまた技術力を磨くことになる。こういうサイクルを作り上げていきたいと考えています。

--AMDユーザーは、業界でいうとどのような分野が多いのでしょうか。

 業界でいうと、自動車や半導体メーカー、そして金融業界の基幹系で多く使われています。例えば米マイクロソフトではOpteronサーバで財務分析を行っていますし、成田国際空港の管制システムにもOpteronが導入されています。実際に導入してみると、処理性能や高可用性に驚くユーザー企業もいらっしゃいます。ちなみにマイクロソフトの次期OS「Longhorn」は完全にAMDサポートを表明していますが、これもAMDプロセッサの技術力を評価してのことでしょう。

 エンドユーザーと直に話すというのは、単にヒアリングだけにとどまりません。32ビットの継続性もそうですし、われわれが2001年に発表したHyperTransportテクノロジのオープン化にしても、エンドユーザーの声があってこそです。HyperTransportは、次世代I/Oアーキテクチャとして高速データ転送を実現する規格ですが、これをAMD1社で独占するわけにはいきません。ユーザー企業はさまざまなデバイスやサーバ、PCを導入しているので、それらすべてで利用できなくては意味がないのです。

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