IAサーバに特化するデルモデルの真骨頂--デル

インタビュー・文:別井貴志(編集部)
写真:津島隆雄 2005年04月26日 10時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
IAサーバに特化しているデルのエンタープライズ戦略には、これまで培ってきたいわゆるデルモデルが活かされている。創業以来続けている、流通業者を介させない直販、受注生産型のビジネスモデルだが、実際にはどのように効果を上げているのだろうか。創業から20年で売上高が5兆円を超えるまでに成長したデルのビジネス戦略の核心を、代表取締役社長の浜田宏氏に聞いた。

--エンタープライズ分野での成長が顕著だと聞きますが、実際にはどのような状況なのでしょうか

 確かにここ2〜3年で急速に伸びています。瞬間的には、2004年1〜3月期の国内IAサーバ市場で初めてトップシェアを獲得するなど、日本一になりました。2003年までは、デルのみが価格破壊を起こしたといった感じでしたが、2004年の1年間で我々が業界全体に理解されました。しかし、その結果皆がデルモデルをこぞって真似するなど、当然競争が激しくなったので、まあ通年で一位は残念ながらとれませんでした。こういったシェアの統計などは、大きい案件が取れたか取れなかったか、あるいは利益を度外視してある意味捨て身でやればある程度誰でも数字を取れるものなので、一部ではデルのモメンタムが失われているなどと言われましたが、まったく気にしてません。

 実際、2005年に入ってからはさらに伸びているし、非常に明るい展望です。ですから、社外では市場シェアが伸びているとか伸びてないとかがどうしても話題になりがちですが、社内ではそれはあくまでもあとから付いてくる結果と捉えて、一喜一憂はしていません。とにかく我々はローエンドから攻め上がってきて、その終わりのない旅の途中にあるといった感じです。

--躍進の背景はどんな点が挙げられますか

 特に2004年末から2005年にかけて徹底的に強化しているのは、大企業と中堅企業向けです。中堅企業は500人〜1000人強のの規模ですが、こういうところでもっとシェアを伸ばしていきたいのです。CPUの数でいえば1個のローエンドサーバではなくて、2個、4個というレベルをもっと販売していきたいですね。そのためには、導入前のハードウェアのコンサルティングが重要だと考えています。ミドルウェアまでをカバーしたコンサルテーションとサービスです。たとえば、ストレージでいえばヘテロ環境でもきちんとサービスサポートできるように、ハードウェアのみならずサポートの強化に力を入れているのが現状です。

 ですから、家でいえば土台と1階、つまりローエンドサーバーにおいてデルのサーバは性能がよくて使いやすい、質も高いという評価を得ているので、これからは、2階や3階も作っていくということです。

 象徴的な例を1つ挙げると、2005年の2月8日に運営を開始したサーバ、ストレージ製品の保守サービスを一元的に管制する施設「エンタープライズコマンドセンター」(ECC)があります。世界で4番目の施設ですが、いわゆる生産拠点がない日本という場所に、独自のセールスとマーケティング、サービスの施設を開設したのは初めてのことで、日本にかける意気込みが並々ならないことを示しています。障害発生から修理の完了までのオンサイト保守サービスをリアルタイムに監視する管制センターですが、まもなく完全な24時間365日の稼働体制に移行します。すでに効果も現れて、ECCを運営し始まったことで、具体的な数値は言えませんが、さまざまなトラブルを1回で修正した比率が上がっています。

 まあ、これからも矢継ぎ早にいろんなサポートサービスを発表していくので、低価格だけではないと一段と認識してもらえるようになるでしょう。クライアントPCからサーバ、ストレージ、サポート、サービスまで、すべて1つの窓口で購入できるということが強みです。

 それと、もう1つの強みは、我々だけが唯一スタンダードアーキテクチャのIAサーバに特化していることです。そのため、顧客におかしな見積もりを持っていくことがない。顧客に対して最初にUNIXのシステムを「どうですか、3億円で」などと提示しておいて、顧客が「そんな金額を払うのは無理だ」と言われると、「あ、そうですか」と言って次に訪問した際に5000万円ぐらいのIAサーバを提示するなど、そういう顧客のことを考えないようなアプローチは絶対に採りません。

--これまで培ってきた「デルモデル」が完全に活かされているわけですね。コストメリットはどのように発揮されるのでしょう。

 まず一部に誤解があるようなので断っておきたいのですが、広告をたくさん出しているせいか、消費者向けにフォーカスしているように認識している人が多いようです。消費者向けのビジネスはすべての売り上げのおよそ20%しかありません。あとの80%は企業向けで、その中でも圧倒的に強いのは一部上場企業市場です。この市場シェアはすでに20%超えています。実は我々の強みは地味で目立たないけれども、本当は企業向け市場が得意なのです。実は、新聞で相当な広告を出稿しているのは、消費者よりもSOHOと中小企業向けのビジネスパッケージが多いのです。

 基本的な戦略は、われわれ最初に手がける際に、いきなり応用問題を解こうとはしないことです。デスクトップPCから始めて、ノートブックを手がけ、ワークステーションをやって、という具合に少しづつローエンドから手がけていって、サポート、サービス、パフォーマンス、プライス、クオリティ、そのすべてにおいて顧客満足度を高め、信頼感を築き上げつつハイエンドに上っていくというのがデルなのです。こういう戦略なので、サーバもストレージも下のレベルから始めているのです。

 われわれの部品在庫は、基本的に4日を切るぐらいです。ハードディスク、LCDパネル、メモリなどは市況が大きく上下することもありますが、在庫をミニマムにして常に一番価格が下がったところで購入してきて、それでPCやサーバを作り販売するのです。言ってみれば、ITの世界のコンポーネントコストというのは、技術の進歩に伴ってある意味永遠に下がっていきます。それをリアルタイムに還元しているのが、デルモデルなのです。

 これは、他者のようにディーラーや店舗などから売り上げ予測を集めてきて「こんなもんだろう」と丼勘定して、生産工場に生産数を出して、それを受け取った工場では「どうせまた、適当な数字を出してきたんだろうから絶対に品不足になるに決まっている。ちょっと多めに部品を購入しておこう」として、部品も製品の在庫も何十日もあるといった、けっこうありがちな悪循環の環境では無理な話でしょう。変動が激しい部品もある中で、30日とか40日前の昔の部品の購入価格で作って製品を寝かしておくわけだ。

 これだと、還元するどころか昔の部品なのに値段は高いままになるわけだ。あとは卸など販売チャネルを通せば、それだけで10〜20%割高になります。我々はたとえて言うならマグロを自分たちで釣ってきて、解体して、そのまま顧客のところに届けているのですから、つまり早くて安くてうまいというわけです。PCだけではなく、これはサーバもストレージも同じです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

SpecialPR