--競合他社と比較した優位性はなんでしょうか
デルの戦略的ポジショニングの優位性というのは、エンタープライズで言えば2つある。1つはIAサーバに特化していることです。スタンダードアーキテクチャなので常にベストのオファーを提示できる。他者がやっているとは言わないが、往々にしてUNIXチームとIAチームが別々に動いていて、製品別にやっているとどうしても、企業の同じニーズを満たすシステムなのに、一方だと100億円かかるが、もう一方だと40億円で済むというようなおかしな話も出てくる。まあ、特化しているピュアなところが競合他者に比べたアドバンテージの1つだと思う。
もう1つは、やはりダイレクトモデルだと思います。もちろん大きなプロジェクトではパートナーと組むこともあるが、常に直販で展開します。直販ですから、非常に明瞭な会計になります。わけのわからない見積書を作ることもないし、透明性とアカウンタビリティ、つまり誰が責任をもっているのか、デルが責任を持ちますというところが明確です。
また、異常な赤字を自分で流すことなく低価格で提供できることも優位点です。われわれの販売管理費は、他社の半分から3分の2なのです。血の滲むような努力をしてコストカットして戦略的な価格を打ち出せるわけです。メーカは赤字を出したら、どこかで取り返さなくてはならないんですよ。赤字をカバーしようとすれば、ITベンダにかぎらず、何かおかしいことをするわけです。ハードウェアでは儲からないので、目に見えずらいサービスのほうで必要以上に高額を徴収するなどです。すべての企業は構造的に黒字をだせないかぎり、もちろん税金を払えないし、社会貢献もしないし、それこそ、当然株主にも報いることができない。それと同時に変なことを始める。
--今後どういった部分に注力していきますか
ある意味、中小企業がいままで一番ほっておかれた。地方の代理店、ディーラー任せだったりして。インターネットで簡単に買えるようにするなど、我々がサーバのコモディティ化を進めたが、まだまだ中小企業は手つかずの面が強いでしょう。中小企業といってもいわゆるママ&パパショップなどのIT化は非常に遅れています。たとえば、美容室だとか、食堂とか。しかし、そうした企業はADSLとかファイバーが入っていないところも多いので、インフラの普及をまたなければいけない部分があるかもしれません。
それから、もちろんサーバやストレージ、エンタープライズ系を伸ばしていくが、この一方で周辺機器も拡大させていく方針です。プリンターやプロジェクター、一部米国では大型テレビとかもやっていますが、徐々にこちらも増やしていきたい。オールインワンのインクジェットプリンターなどは、まだ始めてく7、8か月しか経っていないが、シェアを5%近くまでにしています。
デルモデルを使っていけば、有線か無線でつながるようなデジタル機器はいろいろな可能性あると思っています。5年とか10年先にはPCの形も変わっているでしょうが、質、量ともにデジタル機器のナンバーワン企業になりたいと考えています。だからといって、インターネット冷蔵庫などまで手がける気はしませんが。家電は急速にデジタル化、コモディティ化しているので、我々自身が家電メーカに変身するつもりはないですが、PCやサーバと関連している、あるいはインターネットにつながる機器などは手がけていきます。