オープンソースプロジェクトの買収は可能か

David Berlind(ZDNet.com) 2005年04月27日 21時34分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ここに、熱心なオープンソース支持者が知りたくもなければ、話したくもないような、ちょっとした問題がある。それは「営利企業がオープンソースプロジェクトを買収することが果たして可能なのか」というものだ。この問いかけに対する答えを例証するような出来事が最近起こった。先週、sourceforge.net上でも最も人気の高いオープンソースプロジェクトの1つが買収されたのだ。

 オープンソースプロジェクトが、企業による買収でオープンソースではなくなった場合に、どういう影響が考えられるか。この問いかけに対する答えは、次のような点によって変わってくる。たとえば、買収時までに何人の開発者がコードを提供していたか、どんな開発者がプロジェクトに参加していたか、そして参加していたプロジェクトが買収された際の開発者の計画はどうなるのか・・・。

 オープンソースプロジェクトを買収するには、買収側が対象となるプロジェクトで利用されたコードに関わるすべての著作権を確実に買い取らなくてはならない。これらの著作権は、突き詰めると、それを書いた個々の開発者に帰属するものだ。これらの開発者は、参加するプロジェクトが買収されるまで、自らの書いたコードに関する特定の権利を何らかのオープンソースライセンスの下で他者が利用できるようにしていたはずだ。開発者が、OSIの承認を受けたライセンスを利用してこうしたコードを公開していれば、プロジェクトを買収した企業がそれをクローズドにする方法はない。そのコードにはいつまでも公開時に使われたライセンスが適用されることになる。しかし、このコードの著作権やプロジェクトの商標をすべて買い取ってしまえば、買収側の企業は、オリジナルのコードに手を加えたり、それを配布する権利を手にすることになり、しかも修正したコードをオープンソースライセンスの下で公開する必要もなくなる。つまりこれは、そのオープンソースソフトウェアの今後のバージョンが、クローズドソースになる可能性があるということだ。

 さて、それがいったいどんな影響をもたらすのか。

 まず、Linuxのようなプロジェクトの場合、買収される可能性はほとんどゼロといっていい。これは非常に多くの開発者がプロジェクトに参加しているためだ。これらのコードの開発者を1人残らず突き止め、彼らが本当に該当するコードの著作権保持者であることを証明し、さらにお互いに金銭的な利益を得られるような形で契約を交わすのは困難だろう。また、熱心な開発者のグループが、すでにオープンソースライセンス(Linuxの場合はGPL)の下で公開されているソースコードの中核部分を利用し、オープンソースバージョンのLinuxの開発を続けていく権利を行使する可能性も高い。そのため、たとえ誰かがLinuxの「買収」に成功したとしても、結局は別のバージョンが派生することは目に見えている。派生したオープンソースバージョンは、熱心なコミュニティが開発を続けることになるだろう。そして、それとは別に商用の派生バージョンも生まれることになるが、こちらはオープンソースとクローズドソースが混在するものになる。

 ところで、参加する開発者の数もはるかに少なく、権利関係の処理もはるかに簡単な、人気オープンソースプロジェクトの場合はどうだろうか。確かに、開発者が自らの著作権を買収企業に売り渡すことも考えられるが、これらの開発者がすでにオープンソースとして公開されているコードをさらに発展させることを禁じるものは何もない。つまり、そのソースコードの著作権を買い取る過程で、買収企業側がそのオープンソースプロジェクトのなかでも最も熱心な開発者を雇うことでもない限り、こうした可能性は避けられないということだ。

 Paul Doscherが立ち上げたJasperSoftという新興企業では、JasperReportsというオープンソースプロジェクトを買収した際にしたことが、まさにそれだった。このJavaベースのレポート用ツールは、これまでに25万回近くダウンロードされており、現在でも毎月1万1000回を超えるダウンロードがあるという。これほどの人気にもかかわらず、JasperReportsはもともと、ある1人の開発者が特定のニーズを満たすために始めた典型的なオープンソースプロジェクトで、Doscherによると、ソースコードの著作権保有者は、この開発者のほかに1人しかいなかったという。JasperSoftは、JasperReportsのソースコードに関連する著作権(と「JasperReports」の商標)をすべて買い取っただけでなく、このプロジェクトの原動力でもあり「頭脳」でもあるTeodore Danciuという開発者を雇い入れた。

 JasperReportsの著作権と商標を手に入れたDoscherはいま、自社でどんなことをやろうとしているのだろうか。そして、オープンソースプロジェクトが買収される可能性があるということは、自分の気に入ったソフトウェアがこれからも永遠にオープンソースとして維持されると考えていた人たちにとって、どんな意味を持つのだろうか。商用の派生バージョンが普及する傍らで、オープンソースバージョンを使うユーザーは取り残されてしまうのだろうか。私は30分にわたってDoscherにインタビューを行ったが、そのなかでDoscherはこれらを含む多くの質問に答えている(このインタビューはMP3ファイルのダウンロードかポッドキャストとして入手できる)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

SpecialPR