三菱電機が量子暗号通信を初めて一般公開--RSA Conference 2005 Japan展示

日川佳三(編集部) 2005年05月12日 19時40分

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 三菱電機は5月12日、東京プリンスホテルパークタワーで開催中の企業情報セキュリティ関連会議「RSA Conference 2005 Japan」の展示会ブースで、三菱電機が開発した装置による量子暗号通信のデモを初めて一般公開した。量子暗号装置は今後小型化し、1〜2年以内に受注生産により出荷する。

 量子暗号とは主に、通信相手との間で暗号鍵を共有する際に使う暗号技術で、量子力学の不確定性原理に安全性の根拠を持つ。送信した情報を第三者がモニターすると、モニターした情報そのものが変化するため、解読が不可能になると同時にモニターされた事実が分かるという特徴を持つ。数学理論ではなく物理現象に安全性の根拠を持つため、解読ができない。

 量子暗号化通信のデモでは、ノート型パソコン2台、量子暗号に用いる電子制御装置2台、光学装置2台、伝送路としての光ファイバ、送信された光子を受信側で効率よく拾うための専用装置1台から成る通信設備を用い、量子暗号通信による鍵共有を実演してみせた。受信側で光子を拾う装置の内部はマイナス70度で冷却されており、展示会で特に目立っていた。

 デモでは、暗号鍵を連続して生成し、量子暗号通信を用いて共有させた。鍵の長さと生成頻度は、暗号化するデータの長さに依存する。データの長さと暗号鍵の長さをビット単位で等しくすることで、共有した鍵を用いて暗号化したデータを別途インターネットなどを使って転送する際に、暗号鍵を推測するためのサンプルが無くなり、安全性が高まる。

 量子暗号が生まれた背景には、量子コンピュータの存在がある。量子コンピュータが実用化されると、数学の演算速度の遅さに安全性の根拠を持つ既存の暗号が意味を持たなくなる。天文学的な解読時間を要するため事実上安全だった暗号が、量子コンピュータによって一瞬で解読されてしまい、安全ではなくなる。

 RSA Conference 2005 Japanは5月12日〜13日の2日間開催されており、キーノート6トラック、先端技術の動向や製品実装など69トラック、全57社による製品展示で構成する。展示会は1992年に米国で暗号技術の学術会議としてスタートし、現在では企業セキュリティの製品技術や運用技術へと発展している。国内では今年で4回目の開催となる。

三菱電機が出展した量子暗号通信のデモ環境。光子を効率よく拾うための専用装置が目立つ

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