米国版「2007年問題」

Phil Windley 2005年05月18日 22時15分

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 最近Baseline Magazineに面白いことが書かれていた。IT業務に長年従事してきた従業員が引退する際に、その従業員が培ってきた知識を、企業のCIOたちはどう引き継いでいるのかを扱った記事だ。例えば、FirstEnergy Corp.については、以下のように書かれている。

 「ベビーブーマー世代の第一陣は2006年には60歳になる。オハイオ州アクロンに本社を構える年間売上125億ドルのユーティリティ企業FirstEnergy Corp.は、ベテラン社員の洞察力や知識を若手社員に継承したいと考える。

 同社は今度3年間で、最高75名の新人技術者を採用する予定だ。中高年のベテラン技術者は、数カ月〜2年の期間をかけて、新入社員に対する指導を行っていく。

 これは、全社規模で3000人にものぼる新人を採用し、知識の継承を図ろうとするFirstEnergyの戦略の一環として行われるものだ。同社では2007年末までに全社員の23%が定年退職する予定で、新入社員たちはこれらのベテランの後を継ぐことになる。

 同社のCTOであるBrad Tobinは『何もせずに、手をこまぬいているわけにはいかない』と語る」(Baseline Magazine)

 この問題を解決する過程で、企業は、定年退職する従業員が培ってきた知識を社内に蓄積できること以上のメリットを享受できるかもしれない。このプロセスを通じて、自社の商品やサービスに対するより深い理解が得られることも考えられる。

 ちょうど2〜3週間前に、Novellの元従業員から、NovellがAT&TからUSL(Unix Systems Labs)を買い取った後に行われた会議の様子を聞くことができた。これらの会議は数日にわたって実施され、みんなが「クライアント」や「サーバ」について議論を戦わせていた。ところが、Novellの人間は、サーバは大型コンピュータでクライアントはそれらの大型コンピュータを使う小さなコンピュータだと考えていたのに対して、USLの人間は、クライアントとサーバは対等なピアプロセスだと考えていた。この事実に、この人物は後で気付いたと言う。Novellの社員もUSLから来た人間もみんな同じことについて議論しているつもりだったが、実際はそうではなかった。多数の社員が入れ替わるときに組織のノウハウが消失してしまう主な原因の1つが、こういう、ビジネスで使われる一般的な語句に関する誤解だ。

 私は「Your Company's Leaking Knowledge」という題名のエッセイを書いたことがある。その中で、用語管理のプロセスを応用すれば、重要なノウハウを企業内で保持し、製品を作り出すための基盤を構築できると語り、その方法を紹介した。このときは、主に商品の視点からこの問題を論議したが、ここでもう一度用語管理のプロセスを整理すると以下のようになる:

  • 利害関係を持つ人全員を話し合いに参加させる。
  • 議論のたたき台となる参照用のモデルを作る。
  • みんなに共通の語句を使わせる。また語句について話し合い、任意の語句について全員が同じ認識をもつようにする。
  • モデルと専門用語を徹底させるために、それらを文書化する。
  • 必要に応じて上記のステップを繰り返す。

私がコンサルティングを行っている会社では、今このプロセスを実施しているところだ。プロセス自体は混沌としたもので、ときに、組織内で感情論が湧き上がることもある。しかしこういう感情論をないがしろにしたり、意見の不一致を隠そうとしてはならない。そういうドロドロしたものを経験して共通理解を達成することがこのプロセスの目的なのだ。

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