透明性の高い企業文化を創るには

Phil Windley 2005年06月06日 19時49分

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 組織のビジネス部門とIT部門の間で発生する不信感のほとんどは、リソースに関する誤解や疑問に起因する。IT部門が成功するには、透明性の高い企業文化を創り上げ、これらを払拭する必要がある。透明性は今流行りの言葉で、どんなIT専門家でも頻繁に耳にする2つの概念「測定」と「コミュニケーション」がこれに関係してくる。あなたの組織ではプロジェクトの進捗状況を測定しているか?誰がその結果を見ることができるか?イントラネットにアクセスすれば、新しい給与計算システムの開発プロジェクトが時間通りに予算内で進行しているかどうか、組織内の誰もが調べることができるようになっているか?(透明性が確保されていなければ)貧弱なIT組織は問題をひた隠しにするし、良い組織は成功を自画自賛するだけだ。また、その中間にあるのは、居心地の悪い不毛地帯だ。そこにいる人たちは、問題があることが分かっていて、それを改善したいのは山々だが、良くするには問題点をおおっぴらにするしかないことに気付いている。

 (こういう場合)最初に行うと良いのは、自分の組織にとって重要な事柄を測定することだ。そして結果を、初めのうちはITマネージャやCEOなどの限られた人たちだけに知らせることだ。組織が、測定に慣れてきて、結果に反応して行動を起こす(上層部は必ず反応する)ようになってきたら、測定結果の通知先を少しずつ増やしていく。CIO Magazineの最新号に、透明性に関する記事が載っていた。この中に、IT部門の透明性を増やすための3つのケーススタディが紹介されていた。

 1番目のケーススタディはテキサス州ヒューストンにある不動産会社HinesのIT部門の取り組みだ。同社ではSLA(Service Level Agreement)の考えを取り入れている。何を測定するのか、目標は何かを定義し、これらのゴールをサービス利用者に伝えるためにSLAを使うのである。社内SLAを成功させるコツは、現実的な目標値を設定することだ。現在のリソースでは満たすことができないSLAにIT部門が強制的に合意させられたり、あるいは、IT部門自身がみんなを喜ばせるためにそういうSLAに同意してしまい、自分で自分の首を絞めることになるというのは、ありがちなケースだ。そういうことを防ぐための1つの方法として、しばらくの間実際のサービスレベルを測定し、理想の状態ではなく、現在のレベルに基づいた現実的な目標値をゴールに設定することが挙げられる。

 2番目のケーススタディはSouthern Companyの例だ。この会社では、内部経済を利用して、IT部門がサービスを提供するビジネス部門に会計責任を課す方法を取り入れていた。私はこの概念が正しいと信じるが、この方法はやり方を誤ってしまう場合が多い。例えば、ユタ州はこの概念を「インターナル・サービス・ファンド」と呼んで、IT運営用の資金を中央にプールした。しかし、各部門に請求する価格は実際にかかった経費ではなく、議会を通過することが予想される法令に基づいて人為的に設定された。州の当局者は、法令によって必ず補填されるという保障なしに(ITサービスの)値段が上がることは望まなかったし、値段が下がって次期予算が削減されることも望まなかった。この方法がうまく機能するには、人々が市場の現実に基づいた考え方をしなければならない。内部市場についてはMITのThomas Maloneが論文を執筆している。Dean Meyerの本「Decentralization」の中には、この分野に関するIT部門への大変良いアドバイスが書かれている。

 3番目のケーススタディに登場するのはバランストスコアカードを使う手法だ。このケーススタディで取り上げられているのはBNSF Raiway。同社はバランストスコアカードを使って、ITの運用状況のデータをビジネスマネージャたちに伝え、例えば、事業をいつも通り行っただけなのにコンピュータリソースにかかる費用が増加したのはなぜかというような点について、CEOやその他の人々に洞察を与えている。バランストスコアカードは、企業が戦略上や運営上の目標をどの程度達成しているかを測るのによく使われる手法だが、IT部門におけるコミュニケーションのツールとしてはあまり有効に利用されてこなかった。私自身、あまり使った経験がない。

 上記の記事やケーススタディで触れられていない、透明性を確保するためのツールがもう1つある。ブログだ。私は、IT部門の責任者が自分の職務について説明することは、IT部門の内部や、ビジネス部門との間のコミュニケーションを促進するうえで本当に役立つと信じている。ブログに不適切な書き込みをして失策を犯すなどということも考えられるが、ブログが抱える一番大きな問題は、素直な気持ちでブログを書くと、自分たちのイメージが崩れると考える人がいることだ。これは「自分たちがどんな苦労しているか、他人には絶対見せたくない」という意識から来るものだ。2年前、私は、IT組織でブログを使用することに関する討論会の議長を務めたことがあるが、その討論会で話し合った論点は今でも通用する。特に、オープンで正直なコミュニケーションの文化を創り出すにはどうしたらいいかというトピックが参考になるだろう。

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