マーキュリー・インタラクティブのCMO、BTOを語る

Chris Jablonski

2005-06-07 22:56

 現在、ビジネスとITをどのようにして密接に連携させるか、その方法を見つけることが多くのCIOにとって最重要課題となっている。この動きにビジネスチャンスのにおいを嗅ぎつけたベンダーは、急速に成長する次世代型管理ツール市場に注目している。そのうちの1社として挙げられるのがMercury Interactiveだ。同社は、最も成長しているソフトウェア企業の1つで、BTO(Business Technology Optimization、ビジネステクノロジーの最適化)分野におけるリーダーでもある。Mercuryの最高マーケティング責任者(CMO)Christopher Lochheadが今週、ZDNetのインタビューに応じ、最近の同社のアプローチや競合他社との違いを語ってくれた。同氏はこのなかでさらに、どこから始めていいか分からないITマネージャに向けたアドバイスも提供してくれている。「テクノロジーにおける現在の一番大きなトレンドは、ITの活用方法が変化していることだ。ITのビジネス化が起きているのだ」とLockheadは語った。この変化は複雑なもので、業務プロセスを改革しなければこれに対応できない場合もある。同氏はこれを、たくさんのレイヤーから構成されるものとみなすこともできると言う。以下にそのレイヤーを説明する。

 まず組織は、IT関連のコストやリスク、リソース、取り組みそのものを、自身で管理し、内容を把握しなくてはならない。これらはITガバナンスによって実現することが可能だ。「組織は、優先事項を決定したり、取り組みを遂行したりするうえで、様々なプロセスを自動化する。(ITガバナンスによって)この自動化されたプロセスのビジビリティを向上させ、透明性を確保することが可能になる」とLochheadは述べる。また、ガバナンスによって、不毛な「スプレッドシートの戦い」を繰り広げたり、大量の電子メールを使ってITプロジェクトを管理したりする必要も無くなるとも述べる。

 次のレイヤーは、アプリケーションの設計と開発だ。これはSAPやMicrosoftなどの大手ソフトウェアベンダーが牛耳っている分野だ。Mercuryがどうにかできる分野ではない。さらにこの上にあるの3つ目のレイヤーが、アプリケーションの配布と管理だ。「このレイヤーこそ、ITの利用方法を最適化できる部分だ」と彼は言う。Lochheadによると、アプリケーションの約80%は導入される前にテストされていないという。現在ほとんどの企業がアプリケーションの運用によって成り立っていることを考えると、これはかなり危ない状況だ。

 ベンダーがBSM(Business Service Management、ビジネスサービスマネジメント)を提供するアプローチと(Mercuryのアプローチを)比べるとどうか、という質問に対して、Lochheadは、BSMはBTOの一部であり、MercuryのBusiness Availability Centerに統合されていると述べた。彼は、BSMを売り込んでいるベンダーは、管理用のコードとダッシュボードを付け足すことによって、NSM(Network Service Management、ネットワークサービスマネジメント)ソリューションを単に焼き直しているだけだとも語った。

 MercuryのBTOアプローチは、また、最近とみに盛んになっているSOA(Service Oriented Architecture、サービス指向アーキテクチャ)を取り入れる上でも有用だ。Lochheadは、「SOAのためにBTOをやっていないなんて、それは『SOL("Short Out of Luck"の略で、「まったく運がない」という意味)』だ」と言う。SOAには(コンポーネントの)切り離しと再利用性を向上させる特徴がある。そのため企業では少数の大規模アプリケーションから、多数の小規模アプリケーションの利用へと移行しており、これらを管理することの重要性が再認識されるようになっている。「監視する手立てがなければ、一人の人間がSOAのコンポーネントを改ざんして、全体のアプリケーションが停止してしまうことにもなる」と同氏は警告する。

 Lochheadはインタビューに最後に、「ITをビジネスのように運営する」方法を探しているITマネージャに向けたヒントを提供してくれた。

 以下に同氏からのヒントを記す。

  • ビジネスがITを測定するのと同じ方法で、ITそのものを測定すること。つまり、ITのプロセスによって達成される最終成果をいつも気にかけること。
  • 新しいITの取り組みや既存のアプリケーションについて、品質や測定の評価基準を設けること。
  • 「自分の頭より大きいものを食べない」こと(イラストレーターB. Klibanの著書『Never Eat Anything Bigger Than Your Head』より)。小さいことから始めて、徐々にやることを増やしていくようにすること。

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