EMCの買収戦略、「ハードからソフトへ、そしてよりよいソリューションへ」

藤本京子(編集部) 2005年06月17日 19時30分

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 企業の買収・合併がさかんに行われているIT業界。米EMCは、その中でも積極的に買収を行っている企業のひとつだ。6月16日から米EMC本社で開催しているプレス向け説明会でも、同社社長兼CEOのジョセフ・トゥッチ氏は「企業買収はEMCの戦略の中でも重要な位置づけだ」と述べている。

 以下では、トゥッチ氏と、EMCでカスタマーオペレーション主席副社長を務めるデビッド・ゴールデン氏の企業買収に関する意見をまとめる。

 まずストレージ業界で最近注目を集めたのが、Sun MicrosystemsによるテープストレージベンダーStorageTekの買収だ。この買収についてトゥッチ氏は、「テープ製品は、アーカイブデータの保存には使われるかもしれないが、バックアップやリカバリ用のデータにはほとんどディスクが使われている。EMCが買収する企業は、EMCの成長を加速させる企業だ。テープストレージはあまり成長性があるとは思えないので、わが社がこのような買収を行うことはないだろう」と述べた。

EMC社長兼CEO ジョセフ・トゥッチ氏

 実際EMCでは、テープストレージを自社で用意せず、ADICの製品を再販している。これは、ソリューション(システム構築サービス)を提供する際、テープストレージが必要だとする一部の顧客のニーズに応えるためだが、「ディスク製品は価格が安価になりつつあり、サービスレベルも向上している。また、バックアップやリカバリにおいて速度を求める顧客が多くなっているため、テープはアーカイブ用以外に使われることはなくなっている」とゴールデン氏は説明する。メガバイト単位の価格はテープが安価でも、規模が大きくなるとテープストレージに必要な装置のコストがかさむため、同社のソリューションセンターにおいては7.2テラバイトの容量を持つデータをテープとディスクで保存した場合、ディスクの方が1000ドル安価になったという事例もあるという。

 EMCの企業買収の歴史を振り返ると、2002年までの9年間で20社、2003年以から現在までに5社の買収を行っているが、この2つの時期には大きな違いがある。2002年までに買収した企業は、Data GeneralやFilePool、McData(のちにEMCより再びスピンオフ)など。ストレージプラットフォームの製品ラインアップを拡充し、幅広い市場にアプローチすることが主な目的だった。この一方、2003年以降は、Legato、Documentum、VMwareなどソフトウェア企業が中心。この理由をゴールデン氏は「ソフトウェアでILM(情報ライフサイクル管理)ソリューションを実現するため」と述べている。ILM戦略と買収戦略は順調に進み、2002年に赤字を記録した同社は2003年に再び黒字化している。

EMCカスタマーオペレーション主席副社長 デビッド・ゴールデン氏

 こうした戦略に伴い、EMCの収益構造にも変化が起こっている。2002年第1四半期の同社の収益は、ハードウェアが59%、ソフトウェアが26%、サービスが15%だったが、2005年第1四半期はハードウェアが46%、ソフトウェアが37%、サービスが17%となり、ソフトウェアおよびサービスの占める割合が54%とハードウェアを越えた。「今後も買収を行うとすればソフトウェア企業。収益の中でソフトウェアの占める割合はさらに伸びる」(トゥッチ氏)。

 具体的な買収予定については明らかにしなかったものの、ゴールデン氏は「ILM実現のために必要な要素はすべて揃った。今後はILM戦略を進めるにあたって、よりよいソリューションが提供できるテクノロジーを持つ企業に焦点をあてる」と述べた。

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