そこで、営業マンがSFAを使いやすいよう、配慮する必要があった。そこで着目したのが入力方式だ。たとえば、携帯電話から日報を入力する際、文章などの定性的な情報は書き込みにくい。そこで、定性的な情報を定量化し、4〜10程度の項目から選択する方式とした。
また、ムダな入力情報が多いと、営業マンが日報の入力を渋ってしまう。デンセイ・ラムダでは、競合情報や、キーパーソン、その顧客は値段もしくは仕様のどちらにこだわるかなど、入力項目も最小限に絞り込んでいる。
熊澤氏は、このような定性情報の定量化が、SFAを成功させる最大のカギだという。たとえば、定性情報は後々参照されるケースが極めて少ない。システムから定性情報を抽出するのは難しく、分析にも時間がかかるからだ。「厳密な日報入力は、営業マンの負担を増やし、後々に使われない情報を蓄積させることになります。ムリにでも10項目の中から選択させることが重要なのです」というのだ。これは、営業マンの負担を軽減できるほか、行動を分析しやすい利点もある。
営業日報の積み重ねが
経営コクピット実現の土台となる
日報の入力が徹底されると、予実管理が可能になる。営業マン個人の売上達成の累積が営業所の売上となり、営業所の売上の集約が営業部の売上となる。これを積み重ねれば、グループ全体の売上とその達成率が分かる。逆にいうと、売上が達成していない場合、それを個人にまでドリルダウンすることで、どの営業マンがボトルネックになっているのか明確になる。
これは、かなり画期的な仕組みだ。通常、営業所ごとに売上を管理するケースが多い。だがそれでは、個人と組織レベルで整合の取れた予実管理は難しい。
たとえば、ある営業所の計画が30億円なのに対して、25億円しか達成できそうにないとする。それをごまかすために、とりあえず5億円足した額を本社に申告する。ただし、不足分は各営業マンに割り当てていない。これがまかり通ると、営業マン個人がどれだけの営業努力をすればいいのかわからないし、営業部も業務改善を具体的に指導できない。
デンセイ・ラムダでは、個人の売上の積み重ねが、全体の数字に響くため、そういった「操作」を施しようがない。営業活動すべてが透明化されているので、どこの業務プロセスに問題があるのかも分かりやすい。
営業マンの日報の積み重ねが、営業活動の透明化を促し、経営コクピットシステムの土台となっている。熊澤氏は「すべてのレポートは、営業日報の積み重ねです。経営コクピットシステムの実現には、まずは土台となるデータの収集、つまりSFAは欠かせません」と断言する。
同氏は、これらの仕組みを利用して、将来的にはオペレーションコードの実現を視野に入れている。ダッシュボードの数値とアクションプランをヒモ付けることで、特定の数値を示したらアラームを発信。「製造原価を引き下げなさい」などの具体的なプランが提示される仕組みだ。
ユーザー・システム・カルテ
会社概要 | |
名称(敬称略) | デンセイ・ラムダ |
所在地 | 東京都品川区東五反田1-11-15 |
業種 | スイッチング電源や無停電電源装置等の開発製造販売 |
総従業員 | 約660名 |
システム名称 | Management Cockpit |
プロジェクト概要 | |
適用業務 | リアルタイム経営管理 |
カットオーバー時期 | 2004年初頭 |
協力インテグレータ | |
開発に要した日数 | 約6カ月間 |
システム構成 | |
パッケージ | Hyperion Enterprise、Heperion Essbase、ERP「Baan」、「eセールスマネージャー」(ソフトブレーン) |