アフラックの電子文書PDF変換システム

日川佳三(編集部) 2005年09月06日 10時00分

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業務で使う非定型文書をPDF変換
サーバ側アプリ採用で管理負荷を削減
  1. 文書をPDF化して円滑な情報伝達とファイル容量削減を実現
  2. PDF変換をサーバ側で実行してクライアント管理負荷を削減
  3. 性能が出ない現状のネットワーク構成の改善に取り組む

 膨れ上がる非定型文書をどうにかしたい--。企業が抱える共通の悩みである。統一化していない文書フォーマットは意思疎通を阻害し、肥大化するファイルはストレージとネットワークを疲弊させる。2005年7月に新文書管理システムを稼動させたアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)もまた、文書管理の問題に日々戦いを挑み続ける会社の1社である。

アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)ITデスクトップ運用室の中村岳彦システムエンジニア

 アフラックの社員は皆、社員個人のパソコン上で様々な電子文書を業務に利用する。WordやExcel、PowerPointといったオフィス系の非定型文書である。社内での情報伝達の手段として、社外の個人代理店への連絡手段として、あるいは広告宣伝部門が制作会社とデータをやり取りする業務フローとして、非定型の電子文書は同社の業務に欠かせない。

 「業務の現場からPDF(Portable Document Format)を採用したいという声が高まっていた」と振り返るのは、ITデスクトップ運用室の中村岳彦システムエンジニアである。PDFは米Adobe Systemsが開発した文書形式であり、Acrobatと呼ぶ文書作成・閲覧ソフトで利用できる文書配布用の共通フォーマットだ。情報を円滑に伝達する目的で、各種の電子文書をPDFに変換する需要が高かった。

現場の要請に応え、PDF変換ソフトを導入

 2002年、現場から寄せられる声からPDF変換の需要の高まりを感じた中村氏は、クライアントPC上で動作するスタンド・アロン型PDF作成・変換ソフト「Adobe Standard」を順次、社員のPCに導入していった。使い方はユーザーに任せていた。全社員が使うわけではないが、2005年8月現在、ライセンス数は社内で150に及ぶ。

 中村氏が所属するITデスクトップ運用室は、社内情報インフラを整備する部門である。基幹業務アプリケーションや業務系ネットワークを開発・運用するのが情報システム部門である一方、ITデスクトップ運用室はイントラネット/インターネット環境の整備や、クライアントPC環境の整備を担う。

 要望の多かったPDF化のメリットは、こうである。まず、文書フォーマットを統一できる。暗号化やパスワードなどセキュリティの確保も可能である。アフラックではまた、PDF化することで文書の編集を不可能にする点も重要だった。業務の実績値の報告書を改ざんされてしまったら、意味がないからだ。

 機能面での利点のほかに中村氏が指摘するのは、PDF化による文書サイズの低減である。社内で流通する電子文書は、その多くを米IBM(旧米Lotus Development)が開発したグループウェア「Notes」のメール機能を用いてやり取りしている。画像をふんだんに使うなど1文書の平均サイズは1Mバイトにも及ぶ。「電子文書をPDF化するだけでファイル容量が減るため、ネットワーク・トラフィックとストレージ容量を削減できる」(中村氏)わけだ。

サーバ側で動作する製品でコストを削減

 Adobe Standardを順次導入していく作業と並行して、中村氏はPDF化のさらなる最適解を探した。機能の改善は社員の生産性を向上させるほか、製品によっては、ライセンス使用料や管理コストの削減につながるからだ。

 まず中村氏が考えた条件は、クライアントにソフトをインストールすることなく利用できるものに切り替えるという案である。サーバ側だけで動作するソフトにすれば、クライアントPCへのインストール作業や設定作業、メンテナンスやヘルプデスクといった諸コストを削減できる。

Adobe Document Server with Renopulse

 サーバー側で動作するソフトの候補が、日立ソフトウェアエンジニアリング(以下、日立ソフト)が開発したPDF変換アプライアンス「Adobe Document Server with Renopulse」だった。Renopulseは、ウェブブラウザでファイルを指定してアップロードし、ウェブサーバ側でPDFに変換・格納する仕組み。調べてみると、ユーザー数(クライアント数)に依存しないCPUライセンスを採っており、ライセンス料も削減できることが分かった。

 加えて、バックエンドで米Adobe Systems純正ソフトが動作するため「安心できた」(中村氏)。選定に際して日立ソフト社内で実稼動しているという実績もあった。サイジングに関する日立ソフト社内の性能実績データも提供してもらえた。アフラックと日立ソフトの規模は同じであるため、性能データは参考になった。

 Renopulseの導入プロジェクトは2005年7月にカットオーバー。「ネットワーク環境やActive Directory環境の整備が整っていないため、社内ではまだ大々的にRenopulseを宣伝していない」(中村氏)。にも関わらず、稼動直後の7月に1000件、8月には2倍となる2000件のPDF変換実績がある。ネットワーク環境を整備した後に社内に知らせることで、Renopulseの利用は飛躍的に向上する。

ウェブブラウザで変換前ファイルを指定してアップロードすると、Renopulseがサーバ側でPDFにファイル変換する

情報系ネットワークの整備を急ぐ

 2005年9月現在、同社はRenopulseを含むイントラネット環境のインフラであるIPネットワークの整備を急いでいる。Renopulseを利用する際、「1Mバイトのファイルを1つアップロードして変換するのに30秒程度かかってしまう」(中村氏)からだ。

 情報系ネットワークは業務系ネットワークとは別に用意しており、全国に約150ある支店をIP-VPNで接続したものだ。サーバを設置したビルは200Mビット/秒の帯域を持っており、問題はない。一方、Renopulseを稼動させたPCサーバ機はPentium 4を搭載機を使っており、性能は十分である。

 レスポンスが遅い理由は、社内ネットワーク・アクセス用のプロキシ・サーバにある。現状では、イントラネット系のすべてのアクセスは、1台の簡易型プロキシ・アプライアンスを経由する設定になっている。このプロキシがアクセスログを記録し、ウイルスを走査するのである。

 社内から社内へのアクセスであれば、ログ取得方法やウイルス対策方法を変えれば、わざわざプロキシを経由させる必要はない。プロキシ経由でなくてもアクセスを受け付けるように設定を変更することで、Renopulseのレスポンスは向上する。

 現在社内で進行しているActive Directoryのグループポリシーの適用プロジェクトと合わせ、今後同社はネットワーク環境の改善を図っていく。その後、Renopulseは社内で大々的に宣伝されることになる。

会社概要

正式名称American Family Life Assurance Company of Columbus(アメリカンファミリーライフアシュアランスカンパニーオブコロンバス)日本支社
略称アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
所在地東京都新宿区西新宿2-1-1新宿三井ビル
事業内容生命保険業
社員数2743人(2005年3月末)
代理店数1万6961店(2005年3月末)

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