すべてのアプリのための統合データ基盤「Oracle Database 10g Release 2」

山下竜大(編集部)

2005-09-05 21:20

 日本オラクルは9月5日、データベース製品の最新版「Oracle Database 10g Release 2」をプレス向けに紹介する説明会を開催した。Oracle Database 10g Release 2は、“すべてのアプリケーションを支える統合データ基盤”というOracle 10gの基本コンセプトのもとに開発されたOracleデータベースの最新版。2005年9月7日より、順次提供が開始される。

 すべてのアプリケーションを支える統合データ基盤というOracle 10gの開発コンセプトによりオラクルは、導入&運用コスト、インテグレーションコスト、管理コストの3つのコストを削減するほか、セキュリティ強化を含む企業コンプライアンスへの準拠、SOAやJava/XMLなどの標準化の推進という3つの取り組みを実現する。

 日本オラクルの執行役員 システム事業統括 システム事業推進本部長である三澤智光氏は、「複数のミドルウェア製品を、複数の会社から購入してシステムを構築すると、それぞれの製品に対する導入や運用コストが必要なほか、システム統合や管理面においても個別にコストが必要になり効率的でない」と話す。

 Oracle 10gでは、拡張性や可用性、パフォーマンス、運用管理、自動化、セキュリティなどの機能が1つのデータ基盤として密に統合されていることから、1つの製品を導入し、1つの製品を管理することでTCO(総所有コスト)が削減できる。また、製品間のつなぎ目がないため、高いセキュリティのもとに企業コンプライアンスを実現。情報漏えいをはじめとする企業のリスクを排除することができる。

 さらにOracle Database 10g Release 2では、Oracle Fusion Middlewareと同様に、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)、BI(ビジネス・インテリジェンス)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)、セキュリティという4つの分野で機能が強化されている。三澤氏は、「Fusion MiddlewareとOracle Database 10g Release 2が緊密に統合されているのも特長の1つ。これにより、統合データ基盤として最大の効果を発揮できる」と話している。

 EA対応の新機能では、グリッド環境を実現することで、システムの導入、運用コストの削減を目指している。最新版では、システムの負荷に応じたOracle Real Application Clusters 10gのプロビジョニング機能を大幅に強化。これまでオラクルの専門家が8時間かかっていたOracle RAC 10g のインスタンスの追加を、Oracle Enterprise Manager 10gを使用して、システムを停止することなく、5ステップ、5分で実現できる。

 また、BI対応の新機能では、パフォーマンスやリアルタイム性、スケーラビリティ、高度な分析機能などを搭載した統合BIシステム基盤を実現。大量データの抽出、 変換、ロード処理を行うETLツールから、データウェアハウス、OLAP、分析ツールまで、BIシステム構築に必要なすべてのツールを提供する。

 日本オラクルのシステム事業推進本部、杉崎正之氏は、「Oracle Database 10g Release 2では、シンプルでタイトに連携された統合BIシステム基盤を提供できるのが最大の強み。特に、MOLAPとROLAPを完全に統合したハイブリッドOLAPを提供できるのはオラクルだけ」と話す。

 またBI関連の取り組みの1つとして、エス・ピー・エス・エス(SPSS)との協業を発表。SPSSのデータマイニングツール「Clementine 9.0」からOracle Data Mining 10gの分類・回帰アルゴリズムである「Naive Bayes」「Adaptive Bayes」「SVM:Support Vector Machine」の各機能を呼び出せる仕組みを実現している。

 さらにセキュリティ関連では、Oracle Enterprise Manager 10gからセキュリティ項目を自動的に分析してスコア化し、脆弱性を取り除くための仕組みが搭載されたほか、問題が発生した場合に“誰がいつ何をしたのか”を容易に監査できる仕組みやデータベース内部はもちろん、メモリ上やバックアップデータも暗号化できる機能などが搭載されている。

 そのほか日本オラクルでは、NECが運営するインターネットサービス「BIGLOBE」がOracle Database 10g Release 2を採用することを発表。BIGLOBEでは、2005年10月よりOracle Database 10g Release 2を導入したサービスの提供を開始する。BIGLOBEでは、システムを停止することなくシステムの更新が可能なローリング・アップグレード機能やシステム全体として可用性、スケーラビリティ、管理性などを向上できることを評価して採用を決定したとしている。

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