靴売場にICタグを導入し、顧客起点のSCMを構築する(前編)

小林正宗(月刊ソリューションIT編集部) 2005年09月20日 10時00分

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売場改革事例/三越・阪急百貨店

三越と阪急百貨店は、2005年4月から靴売場にRFID(ICタグ)を本格導入した。これは、在庫や流通の最適化に主眼を置く従来型のSCMをにらんだものではない。顧客自らが在庫や類似品を検索できるようにすることで、確認にかかる時間を最小化。さらに欠品を防ぎ顧客満足度を向上するのが狙いだ。売場と顧客を結ぶことで、真に顧客を起点としたSCMシステムが実現する。

 SCMへの関心が高まってきた(月刊ソリューションIT8月号特集参照)。企業は、サプライチェーンの一部にのみフォーカスするのではなく、プロセス全体を最適化する方向へと、目を向け始めている。これを「第3次SCMブーム」と呼ぶ動きすらある。

 90年代に起こった最初のSCMブームでは、大企業を中心に、こぞってSCMパッケージを導入。物流の最適化を目指した。これは一定の効果はあったものの、大半が物流部門の個別最適に陥り、経営全体のパフォーマンスはむしろ悪化することもあった。

 今回の第3次ブームのキーワードは、「全体最適」だ。生産計画で利用されるVRP(輸送手段最適管理)やMRP(資材資源管理計画)を駆使して、受注から回収に到る供給全体のコストや、プロセス全体のリードタイムの最小化を目指している。

 この第3次SCMブームを支えるシステムは、SCE(SCM実行システム)やSCEM(SCMイベント監視システム)、SCP(SCM計画システム)などだ。そして、その末端を支える技術として、ICタグ(RFID)や二次元バーコード(QRコード)が数年前から注目を集めてきた。個品にICタグや二次元バーコードをつけることで、出入荷の管理が簡素化され、メーカーから小売店まで一気通貫での管理が可能となる。

 特にICタグは、モノを個々に把握できるほか、情報を書き換えられるメリットがある。また、アンテナの活用により個々の商品が、どこをどう流れているのかを把握できれば、需要予測や生産計画、販売管理の質と精度が劇的に向上する。SCMやPLMに関わる企業が、ICタグに着目した理由はそこにある。

 これらのICタグの利用方法は、いわばメーカーから小売店までのサプライチェーンの効率化を狙っている(図1参照)。ICタグを導入することで、メーカーは生産計画、卸は商品企画、小売店は発注計画に役立てようというものだ。だが、三越や阪急百貨店は、売り場と顧客をヒモ付ける手段としてICタグを導入。結果的に売上増という成果を収めた。

図1 顧客起点のSCM

 以下では、ICタグという先端ITを使って、これまでのSCMとは一線を画す「顧客起点のSCM」を構築。業務プロセス革新を成功させた2社の事例を紹介する。

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