10年間でサービスインフラベンダーに変革したBEAシステムズ

山下竜大(編集部) 2005年09月29日 21時53分

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 米BEA Systemがサンタクララで開催しているユーザーカンファレンス「BEA World 2005」の2日目となる9月28日、基調講演に同社CTOであるMark Carges氏が登場。サービスインフラ、アプリケーションインフラ、そしてJVMに関するBEAの10年間の“技術革新”について紹介した。

米BEAのCTO、Mark Carges氏

 1995年にトランザクション処理を効率的に管理するためのTPモニター「Tuxedo」を米Novellから買取ることで設立されたBEA Systems。BEAという会社名は、現在のCEOであるAlfred Chuang氏をはじめ、Bill Coleman氏、Ed Scott氏という3人の設立者の頭文字に由来している。

 BEA World 2005に相当するユーザーカンファレンスは、設立翌年の1996年にフロリダで開催されており、今年で10回目となるが「この10年でBEAも大きく変化した」とCarges氏は講演をスタートした。Coleman氏、Scott氏がBEAを後にしたいま、Tuxedoの開発者の1人でもあるCarges氏は、BEAの10年を知り尽くした数少ない1人でもある。

 そのCarges氏は、BEAが現在取り組んでいるサービスインフラとは、いかなるものであるかを紹介しながら、そこに至るまでの10年間にわたるBEAの革新を紹介した。

AquaLogicの提供でサービスインフラベンダーに進化

 今回のカンファレンスで首尾一貫してテーマとなっているのは「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」であり、その実現に向けたBEAの取り組みだ。SOAは、部門ごとに導入されサイロ化したアプリケーションを企業として全体最適化することで、変化に柔軟かつ迅速に対応できるIT環境を実現するためのアーキテクチャだ。

 これまでは有効なシステム構築手法の1つとして企業の経営者からITアーキテクト、開発者まで注目が集まっていたSOAだが、現在では「いかに実現するか」に注目の焦点が移り変わっている。そのSOAを実現するためにBEAが提供するのがサービスインフラとなる。

 これまでBEAは、アプリケーションサーバ製品「BEA WebLogic」を中核に、アプリケーションインフラベンダーとして市場における地位を築いてきた。しかし、システム構築の主流がアプリケーション構築からサービス構築へと移り変わった現在、BEAはSOA構築基盤となる「BEA AquaLogic」を提供することで、サービスインフラベンダーへと進化している。

 BEA AquaLogicが提供するサービスインフラにより、既存の資産を流動化させ、サービスとして再利用可能にするSOA環境を効率的に実現できる。このとき、OSやミドルウェアに依存することはなく、アプリケーションサーバーにIBM WebSphereが使われていても、Microsoftの.NET環境があってもまったく問題ない。

 Carges氏は、「企業システムの現状は、ERPやSFA、レガシーシステムなどが、Javaや.NETなど、さまざまなプラットフォーム環境で稼働している。これらのアプリケーションをサービスとして組み合わせ、変化に柔軟に対応できるITシステムを実現するのがサービスインフラだ」と話す。

 IT専門調査会社である米IDCの調査では、2008年にサービスインフラ市場は90億ドルに達すると報告されている。Carges氏は、「AquaLogicは、まさにこのサービスインフラ市場のリーダーを目指す製品だ」と話している。

 しかしCarges氏は、「SOAを実現するには、テクノロジーだけでは解決できない問題がある」と言う。同氏は、「SOAを全社的に導入する場合、組織やガバナンス、課金の問題などの問題をいかに調整するかが重要になる」と話している。

 例えば、仮にSOAを実現したとしても、「あの部門で使われているサービスは使いたくない」とか、「ウチで作ったサービスをほかの事業部で使う場合、開発予算はどのように配分するのか」とか、「このサービスを使って障害が発生した場合にはだれが責任を取るのか」など、テクノロジーでは解決できないさまざまな問題が発生する。

 Carges氏は、「テクノロジー以外の問題を解決できなければ、技術的にSOAを実現しても成功とはいえない。このような問題を解決するには、ユーザー自身、そしてパートナー企業との協力が不可欠であり、このアプローチを“SOAドメインモデル”と呼んでいる。SOAドメインモデルでは、テクノロジーと非テクノロジーのバランスが重要になる」と話している。

技術革新を続けるアプリケーションインフラ

 サービスインフラベンダーへと進化したBEAだが、アプリケーションインフラを捨てたわけではない。アプリケーションインフラの中核となるBEA WebLogicファミリーも、着実に技術革新を続けている。基調講演でCarges氏は、BEA WebLogicファミリーにおける技術革新として「ブレンド・アプリケーション」戦略とJVMに対する取り組みの2つを紹介した。

 ブレンド・アプリケーション戦略とは、同カンファレンスの初日に同社CEOであるChuang氏により発表されたもの。オープンソースソフトウェアと商用ソフトウェアを効果的に組み合わせることで、アプリケーション開発における生産性を大幅に向上させることを目的としている。

 ブレンド・アプリケーション戦略では、例えばオープンソースのSpringフレームワークで開発されたアプリケーションを、BEA WebLogic Server上に実装できるのはもちろん、オープンソースで開発したアプリケーションに障害が発生した場合でもBEAのサポートを受けることができる体制を確立している。

 BEAではまた、2005年3月にBEA WebLogic Workshopの機能をプラグインとしてEclipse上で使えるようにすることを発表しているが、今回さらにその取り組みの一環としてEclipseベースの開発ツールベンダーであるM7という会社を買収することを発表した。

 M7が提供する統合開発環境(IDE)「NitroX」は、オープンソースのフレームワークであるStrutsやO/RマッピングツールのHibernate、J2EE標準のJava Server Faces、JavaServer Pagesなどを含む間発環境で、Eclipseをベースに高品質なアプリケーションを効率的に開発することができる。

 Carges氏は、「M7の買収により、BEA WebLogic Workshopを中心に、EclipseやWebLogic Portal、WebLogic Integrationなどを統合し、さらにNitroXのような機能を加えることで、より包括的なWebLogic for Javaと呼ぶにふさわしい開発環境を実現できる」と話している。

 一方、JVMに対する取り組みとしては、Intelアーキテクチャ上で最適化されたJVMとして提供してきた「BEA JRockit」を、SPARC/Solarisなど、ほかのプラットフォームでも最適化していくことを紹介した。

 また、今後のユーティリティコンピューティングの実現を目指した取り組みの1つとして、ハードウェアおよびアプリケーションの仮想化テクノロジーを活用することで、OSを介在することなくIntelのVT(Virtualization Technology)対応プロセッサ上で直接JRockitを実行可能にするプロジェクト「Bare Metal」も紹介された。同プロジェクトは、2005年6月にサンフランシスコで開催された「JavaOne」カンファレンスで、同じくCarges氏によって発表されている。

 Carges氏は、「アプリケーションインフラはビル建築の手法のようなものだ。アプリケーションの設計や開発生産性の向上などにフォーカスしている。一方、サービスインフラは都市計画のようなもの。ビルや公園、交通機関などをいかに配置することで住民生活を豊かにするかを考えるように、アプリケーションをいかに統合することで、ビジネスの変化に俊敏に対応できるシステムを実現するかにフォーカスしている」と話している。

 「BEAはこの10年間、Tuxedo、WebLogic、AquaLogicと、常に技術革新を続けてきた。10年後も顧客の必要とする製品を提供し続ける会社であり続けるだろう」(Carges氏)

「BEAは10年後も技術革新を続けている」とCarges氏

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