オラクルのオープンソースDB企業買収--MySQLへの警戒感の表れか

Martin LaMonica(CNET News.com) 2005年10月17日 12時51分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米国時間14日、MySQLのCEO(最高経営責任者)、Marten Mickosのもとに、驚くべき内容の電話がかかってきた。それは、同社と関係の深いフィンランドのInnobaseをOracleが買収するというものだった。

 この電話をかけてきたOracle社長のCharles Phillipsは、Innobaseの買収にあたりOracleには「悪意のない」ことを伝えた。Innobaseはヘルシンキに本社を置く社員わずか5人の小規模ベンダーで、Oracleのソフトウェアと競合し、ますます人気を高めるMySQLに重要なコンポーネントを供給している。

 だが、どのような言葉をかけられても、Mickosは、他の多くの人々と同様に、Innobaseを買収するOracleの動機についてさまざまな憶測を巡らせている。果たしてOracleは、潜在的なライバルを無力化しようとしているのだろうか、それとも自社のビジネス戦略にオープンソース製品を取り入れたい考えなのだろうか。

 「疑問に思って当然だろう。オープンソースコミュニティは回答を待っていると思う」(Mickos)

 金額の面から言えば、このところ他社の買収に160億ドルをつぎ込んできたOracleにとって、Innobase買収は取るに足らないものだ。しかし、アナリストや業界幹部らによると、この買収によって明らかになったことが1つあるという。それは、Oracleが人気の高まる各種のオープンソースデータベースを計算に入れる必要性を認識している、ということだ。

 Oracleは先週発表した声明のなかで、これにより「オープンソースソフトウェアへの取り組みを拡大するつもりだ」と述べている。また、PhillipsはMickosへの電話のなかで、Innobaseの開発する「InnoDB」というストレージエンジンの供給契約を更新する意向を伝えた。MySQLはInnoDBを自社のデータベースに標準添付している。

 両社の幹部らはこれ以上の詳細について口を閉ざしており、Oracle関係者もこの記事に関するコメントを控えている。

 Oracleの幹部らはこれまで、MySQLをライバルとして軽視してきた。CEOのPhillipsは8月、オープンソースデータベースはOracleのビジネスにとって「最終的にプラス」になると述べていた。

 PhillipsはCNET News.comとのインタビューのなかで、オープンソースデータベースを新たに採用した顧客の約40%が、これまで同種のソフトウェアを使用したことがないことに触れ、「オープンソースは、われわれでは獲得できなかった新規顧客に対し、データベースの概念を紹介する重要な役割を演じていると思う。彼らは、もっと本格的なことをしたくなると・・・即座にOracleを導入する」と語っていた。

 MySQLは、同社のソフトウェアは600万インストレーションに達しており、旅行大手のSabre Holdingsといった大企業もMySQLベースを使って大規模なサーバファームを運用していると主張している。また、NovellやDellとの販売提携も、同社がオープンソースのデータベースに関心を示す大企業を開拓するのに役立つとみられている。調査会社Forresterの概算では、企業各社は昨年、この種のソフトウェアに約1億2000万ドルを投資しているという。

 市場におけるこの種のインパクトの大きさが、Oracleにオープンソースのライバルに対する動きを起こさせることになったと、アナリストらは述べている。

 「OracleがMySQLに脅威を感じているとすれば、同社にとってInnobaseの買収はまったく簡単で、実際に小銭程度の金額で買えてしまえるものだった。OracleはMySQLに実に意表をつくパンチを出した」と、Solid Information TechnologyのPaola Lubet(マーケティングおよびビジネス開発担当バイスプレジデント)はいう。同氏はかつてOracleでデータベースマーケティング担当幹部として働いていた。

 MySQLのデータベースと連動するエンジンはInnoDBだけではないが、このエンジンはハイエンドの機能--ローレベルのロック機能やトランザクション処理機能などを求める人々を中心に高い人気を誇っている。MySQLは自社の製品と一緒に、General Public License (GPL)に基づいて公開されているInnobaseの技術を配布している。

 MySQLのデータベース自体は、2通りの方法でライセンスされている。1つはGPLによるもので、もう1つはサービスとサポートを求める企業顧客向けの商用ライセンスだ。

 MySQLはウェブ開発者の間で広く利用されている。これらの開発者は、この使いやすいデータベースをいわゆるLAMPスタック(Linux OS、Apacheウェブサーバ、PHPのようなスクリプト言語)と組み合わせて使うことが多い。

 しかし、MySQLは同社の製品に関して、さらに大きな野望を抱いている。早ければ来週にも登場するバージョン5.0のアップデートには、通常ならOracle製品を採用する顧客を引きつけるようなビジネス向けの機能がいくつか追加されている。

 同社はまた、ビジネスソフトウェアの世界でOracleと競合するSAPとも、緊密な関係を保っている。同社の幹部らによると、MySQLはSAPが開発したオープンソースデータベース「MaxDB」の権利を獲得しており、そのコードを利用して、MaxDBに含まれる多くのハイエンドの機能を自社のデータベースにも追加できるようになっているという。

 Oracleのフラッグシップ製品である「10g」データベースはMySQLよりもはるかに高機能だと見られているが、MySQLはそれでもライバルとみなされている。これはOracle製品と競合する他のオープンソース製品でも同様で、とりわけローエンドの製品についてはその点が顕著であり、データベースに関する決定権を持つ開発者の間ではその傾向が強い。

 Evans Dataが最近行った調査によれば、70%の開発者がオープンソースのデータベースをインストールし利用したことがあるという。この割合は過去6カ月間で7%増加している。オープンソースのデータベースのなかでは、MySQLがダントツで人気が高く、これを利用している回答者は44%で半年前に比べて10%も増加していると、Evans Dataのレポートには記されている。

 ただし、数千万ドルの売上を誇るOracleのデータベースビジネスは、いまだに成長を続けている。同社の主要なライバルであるIBMや Microsoftと同じく、Oracleも製品の価格を下げ、開発者や小規模な企業に訴求しようとローエンド版も開発した。これらの動きには、オープンソースのデータベース採用による企業のローコスト化に対しての反応といった面もあると、アナリストや業界各社の幹部らは述べている。

 「ローエンドの市場を失うと、トップにはなれなくなるかも知れないと認識し始めた大手ソフトウェアベンダーがますます多くなっている」と、ベンチャーファンドのSimula LabsでCEOを務めるWinston Damarilloはいう。同氏はオープンソースのソフトウェアを軸にGluecodeや他のビジネスを立ち上げた人物だ。「MySQLは、絶対的な金額ではなくマインドシェアの点で、Oracleを脅かしている」(Damarillo)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
開発

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

  • 「奉行シリーズ」の電話サポート革命!活用事例をご紹介

    「ナビダイヤル」の「トラフィックレポート」を利用したことで着信前のコール数や
    離脱数など、コールセンターのパフォーマンスをリアルタイムに把握するに成功。詳細はこちらから

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つプレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!