NTTは10月25日、暗号化したまま自由な演算が可能な秘密計算アルゴリズムで世界最高速を達成したと発表した。
秘密計算アルゴリズムとは、入力データや演算ロジックを暗号化したまま計算を可能にする技術だ。これまでは計算量の大きさなどから実現が困難だとされていたが、同社では世界最小の計算コストと通信コストで動作する秘密計算の基本アルゴリズムを開発したという。さらに、この基本アルゴリズムを世界で初めて暗号実装技術によって実装、基本処理に要する時間を測定するなど、商用化に向けた第一歩が踏み出された。
この計算アルゴリズムを利用することで、従来と比べ飛躍的に安全性の高いセキュリティシステムの構築が可能となる。相互認証が必要なVPNなどの暗号通信で機密データの読み取りを防ぐためのハードウェアが不要になるほか、暗号化された機微情報の集計で復号の手間も省くことができる。主な適用分野としては、ソフトウェア認証トークンやプライバシー保護アンケートなどが挙げられている。
同社では今後、秘密計算技術を適用したアプリケーションについて3年後の商用開発を目指す。今回の実装評価結果については、10月26日から開催される情報処理学会(コンピュータ・セキュリティ・シンポジウム)で発表する予定だ。