オープンソースミドルウェア開発の「Petals」プロジェクトが発足

Matthew Broersma(ZDNet UK)

2005-10-27 14:33

 オープンソースミドルウェアに関するコンソーシアムであるObjectWebは「Petalsプロジェクト」の立ち上げを発表した。この新たなプロジェクトによって、同コンソーシアムが1年前から取り組んでいるEnterprise Service Bus(ESB)イニシアティブは一歩前進することになる。

 Petalsプロジェクトの目的は、高度に分散化された統合環境のためのJava Business Integration(JBI)プラットフォームを開発することにある。10月25日に発表された同プロジェクトは、6月に発表された「Celtixプロジェクト」上に構築されるものである。Celtixは、Petalsと同様にObjectWeb主導のプロジェクトであり、オープンソース版のJava ESBを開発している。

 先頃公開されたJBI仕様(Java Community ProcessのJSR 208としても知られている)によって、複数のベンダーが提供するコンポーネントやさまざまなテクノロジーが相互にやり取りを行えるコンテナを定義できるようになり、標準に準拠した統合システムの開発が容易になる。なお、PetalsのJBIは、Celtix上に構築されることになる。

 ObjectWebは2002年に創設された、フランスに拠点を置くコンソーシアムであり、そこでは、オープンソースミドルウェアに関連するさまざまな専門企業が協同作業を行っている。CeltixプロジェクトがアイルランドのIona Technologiesの支援を受けている一方、PetalsプロジェクトはフランスのEBM WebSourcingとブラジルのFossil E-Commerceから主に支援を受けている。

 ESBイニシアティブは、XMLベースのメッセージをイベント駆動型のエンジンによって処理することでサービス指向アーキテクチャを可能にする、ESBミドルウェアのオープンソース版を提供するものである。多くのJava EEベンダーは現在、独自のESBを提供しているものの、JBI標準には対応していない。Petalsプロジェクトの目的は、このJBI標準をサポートすることにある。Gartnerのアナリストらによれば、PetalsやCeltixといったオープンソースプロジェクトは、ESBの普及を加速するものとして期待されているという。

 Petalsプロジェクトでは、さまざまなJava仮想マシン上で多くのJBIコンテナを稼動させ、Java Message Serviceに準拠したトランスポート層を通じてロケーショントランスペアレンシーを実現するという、高度に分散化された統合化アプローチが用いられる。同プロジェクトでは、専用のBtoBバインディングを提供するプラットフォームが計画されている。また、Java EE 1.4に準拠したObjectWebのエンタープライズアプリケーションサーバである「Jonas」との統合も計画されている。

 ObjectWebの執行委員会のメンバーであるFrancois Letellierによれば、Petalsプロジェクトは、データ変換、ロギング、ルーティング機能、BtoB機能を含んだ、すぐに使えるシステムの提供を目標としているという。

 同氏は、10月初めにブログで、「Petalsは、Fractal、Dream、JORAM、XQuare、Lewysといった既存のObjectWebコンポーネント上に構築する、分散コンテナとなるものである」と書いている。FractalとDreamはいずれもObjectWebの下で開発が進められているコンポーネントモデルであり、コンポーネントに基づくコミュニケーションフレームワークである。

 Petalsの初回リリースは、今年末に、ObjectWebのウェブサイトでプロトタイプとともに公開される予定になっている。このプロトタイプにはJava Message Serviceをサポートするためのメッセージ指向のミドルウェアであるJORAMが埋め込まれている。また、Celtixも2005年末までに公開することを目指している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]