第3回 検索エンジンの機能 - (page 2)

森口健生(みずほ情報総研)

2005-11-11 08:00

 また、従来の検索エンジンのように企業内の業務システムへの検索を行うばかりではなく、ユーザー自身のローカルPCを検索する機能がある。それが昨今話題になっているデスクトップ検索である。すでにデスクトップ検索は、MSN、Yahoo!、Googleなどが提供を始めており、Googleは今年5月に、セキュリティ機能などを追加した企業向けのデスクトップ検索ツールをリリースしている。

 現在のところ、システム間横断検索とデスクトップ検索の両方の機能を実現しているESP製品は存在しない。しかし、実際の業務においては、自分の欲しい情報が業務システム内にあるのか、PCの中にあるのかにかかわらず一度に検索できることが望ましいであろう。次世代の検索エンジンにあたるESPではその両方を統合することが期待されている。

ESPとして持つべき機能(2)-業務システムへの組み込み

 ESPは企業内に存在する業務システムのデータをも検索対象とするが、ESPの実装場所は企業内のある1つの業務システムのみとは限らない。効果を最大化させるためには、ESPを単なる1つのアプリケーションとして実現するのではなく、あらゆる業務システムでインターフェース上統合され、その業務システムの一機能として提供されることが望ましい。そして、ある業務システムの一機能として組み込まれたESPから、瞬時に他業務システムのデータを含めた横断検索を行うことで、検索アクセスの効率化をより推進することが求められるのである。

 ESPと業務システムを統合する際は、実装技術としてWebサービスやESPが公開するAPIが使用される。これによって、業務システムの1つのコンテンツとしてESPが組み込まれるのである。さらに、検索実行時には、業務システムから必要なパラメータ(ユーザーID、権限情報など)をESPのAPIに渡して、シームレスな連携を実現する。またAPIの利用によって、検索画面のインプット部分とアウトプット部分のカスタマイズを行うことが可能となる。イメージ的には、GoogleのWebサービスを思い起こせばよい。GoogleはWebサービスによって、検索結果の表示件数やイメージ、オプション検索などカスタマイズをプログラミングにより可能としている。この技術をESPで同様に実現することにより業務システムへの組み込みが可能となる。また、企業独自のデザインガイドラインに沿いながら、ESPのデザインも自由に変更することが可能となる(下図参照)。

ESPは自由なデザインでポータルシステムに統合できる


 また、ESPと統合する業務システムとして、最も親和性の高いのはEIP(企業情報ポータル)である。たとえば、一般的なポータルサイトを考えればよい。Yahoo!やInfoseekなどには必ず検索窓が設置されている。企業内のコンテンツ検索についても同様で、企業情報ポータルの中にESPを組み込むことが望ましい。

 現時点では、企業内のコンテンツ検索を行うエンジンのパッケージ製品の中で、企業情報ポータルとしてのプラットフォームを提供している製品は皆無であり、逆に企業情報ポータル製品で十分なESP機能を実装しているものも皆無である。したがって、現実的に考える場合、EIP製品とESP製品を別々に選択し、連携システムを構築することになるだろう。

 以上、ESPが持つべき機能としてシステム間横断検索、デスクトップ検索、そして、業務システムへのインターフェースの統合について述べてきた。次回は、引き続きESPが持つべき機能として、セキュリティ機能、ナビゲーション機能などについて解説していこう。

みずほ情報総研 システムコンサルタント 森口健生

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