個人情報保護対策、中小企業は知識不足から立ち後れが目立つ--日本HPが調査

エースラッシュ

2005-11-18 18:14

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は11月18日、企業の規模別「個人情報保護法対策の進展調査」の結果を発表した。

 調査は従業員規模を基準に、1000名以上、100から500名の企業、30から100名の企業という3カテゴリで実施された。調査方法は電話スクリーニング後の郵送調査で、調査期間は8月16日から9月2日まで。HPでは1000名以上の企業を「大企業」とし、残り2カテゴリの合計を「中小・中堅企業」と位置づけている。この差を明確にするために、500から999名規模の企業については調査対象にしていない。

 個人情報保護対策について、対策を実施しているとしたのは大企業が90.1%であるのに対し、中小・中堅企業は48.2%にとどまっている。自社の対策への評価は、十分としたのが大企業で5.8%、中小・中堅企業は3.2%となっている。大企業に比べて中小・中堅企業の対策が大きく立ち後れていることと、対策そのものは進んでいる大企業でもそれに完全に満足している度合いは非常に低いことがわかった。また、個人情報保護法の認知内容で知っていたものとして「法令に違反した場合、実刑が下る場合がある」が大企業で84.3%あるのに対し、中小・中堅企業は45.7%、「個人情報・個人データなどの違いにより遵守項目が異なる」も大企業が78.5%であるのに対し、中小・中堅企業が29.6%であるなど、中小・中堅企業は知識面での不足も目立った。

 対策の進度、満足度と知識をクロス集計した結果では、特に大企業との理解度の差が大きかった「個人情報の種類によって扱いが異なる」ということに関して理解が不十分であったにもかかわらず、「対策は実施していないが十分である」という自己採点をしていた回答が11.1%あるなど、中小・中堅企業では実際の対策と知識の乖離が顕著であることもわかった。

 対策をすすめる上での課題としては「ノウハウの不足」と「人員の不足」が多くあげられたが、大企業では「人員の不足」が43.8%でトップであるのに対し、中小・中堅企業では「ノウハウの不足」が51.8%でトップだった。また「最初の進め方がわからない」も中小・中堅企業では14.6%あり、中小企業は最初の取りかかりでの知識不足が目立った。一方大企業は、ノウハウはあっても人員が不足していることが判明。実際のセキュリティ対策でも、PC利用時のパスワードによる個人認証強化や、ウイルス対策ソフトの利用などは中小・中堅企業でも進んではいるが、8割程度にとどまっている。入退室管理やデータの暗号化などは、大企業に対して中小・中堅企業での実施率が低いのが目立った。

 HPのチーフ・プライバシー・マネージャの佐藤慶浩氏は、こういった結果の原因のひとつとして、大企業を対象とした高額のコンサルティングサービスが目立つことにより、対策のノウハウを得ることの敷居が高くなってしまったのではないかと指摘している。また、大企業での対策事例がひな形のように情報共有されれば具体的な対策イメージがしやすくなり、中小・中堅企業の対策促進と向上に役立つとしている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]