戦うより手を取り合おう--標準化で生き残り策を探る富士通とIBM

藤本京子(編集部) 2005年11月28日 11時19分

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 2004年11月にオートノミック(自律型)システム技術の標準化で協業すると発表した富士通とIBM。この1年、両社はどのような取り組みを行ってきたのか。11月25日に開催されたプレス向けセミナーにて、両社はあらためてこの協業における意義を語るとともに、標準化の現状を説明した。

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標準化の重要性について語る富士通の石田氏

 富士通 常務理事 ソフトウェア事業本部 エグゼクティブ・アーキテクトの石田安志氏は、この協業について、「富士通はIT基盤TRIOLEで情報システムの複雑さに立ち向かおうとしているが、システムの複雑さを解決するには自律化が大きな役目を果たすと感じている。ただし、自分たちの製品だけで閉じていては顧客のニーズを満たすことができないため、他社製品との相互接続性の確保が必要だ。そのためには標準化が重要となり、自律型コンピューティングにおける標準化を推進していたIBMと組むことにした」と語る。

 一方、日本IBM 執行役員 ソフトウェア開発研究所 所長の岩野和生氏は、「IBMでは自律型コンピューティングを推進しているが、今後SOA(サービス指向アーキテクチャ)に代表されるような、様々なサービスが組み合わさった形でのシステム構築が進むにあたり、標準化は今すぐ対処すべき課題だ。IBM製品同士での標準化はすでに進めているが、他社もまきこんだ形で標準化を進めなければ生き残れない」と述べた。

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標準化は生き残り策とする日本IBMの岩野氏

 こうした思惑の下で手を組んだ両社だが、この1年で標準化はどこまで進んだのか。まず一番進展があったのは、共通イベント形式の標準化だ。これは、例えば「起動」「開始」「スタート」といったように、同じイベントでも製品ごとに異なる表現を採用している部分を標準化しようというものだ。両社は2005年11月、この形式拡張案をOASIS WSDM TC(OASIS Web Service Distributed Management Technical Committee)に共同提案した。

 また、ソフトウェアの統合されたインストール形式についても標準化に取り組んでいる。これに関し両社は、2005年1月にGGF ACS WG(Global Grid Forum Application Contents Service Working Group)を設立、共同議長を務めているほか、5月にはOASIS SDD TC(OASIS Solution Deployment Descriptor Technical Committee)を設立、IBMが議長に、富士通が設立メンバーとして参画している。統合インストール仕様については、OASIS SDDとGGF ACSで矛盾がないよう協調していく。

 今後の取り組みとしては、人間の作業をシステムで行う際に出す指示内容を共通化することや、ポリシーを設定してシステムの運用管理をする際の判断基準を検討すること、統合コンソールの提案、製品の相互接続性の検証や実証実験などを進めるとしている。

 富士通の石田氏は、「標準化を進めると、これまでに作ったシステムが痛みを伴う可能性もある。しかし標準を採用することで、今まで解決できなかったことが解決されるようになる。それが実証できれば皆が標準を採用するようになるだろう。そのためのドライブをわれわれが進めなくてはならない」とした。

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