だが、営業所の端末をすぐには撤廃できない理由があった。全国の営業マンが、在庫照会に使っていたからだ。そこで新たに、各支店にある端末へ在庫照会するためのシステム開発に迫られていた。総務本部システム統括部の草野和英部長は「当時、ハードベンダーからはいくつかのエミュレータが発売されていましたが、どれも実用性に乏しかったのです。操作性が良くない上に、GUIもパッとせず、導入すればエンドユーザーから反発があるのは目に見えていました」と振り返る。
総務本部
システム統括部
草野和英部長
また、9台あった富士通製のオフコンは、それぞれ導入時期や型番がバラバラで、アプリケーションやOSのバージョンも異なっていた。これらを統合するには、相当のコストがかかると懸念していた。
2001年ごろ、システム営業担当者からツールを紹介された。それが、三和コムテックが提供するウェブエミュレーター「eLECTRAN」だ(囲み記事参照)。これは、ウェブ画面からオフコンやメインフレームに直接アクセスし、リアルタイムに在庫を照会できるのが特徴だ。基幹システムに手を入れずにウェブシステムを構築できるため、構築費用や期間も抑えられる。
2002年にeLECTRANの導入を正式に決定。開発は、SI企業のジェイ ティ イーが担当することになった。同年末から、導入プロジェクトがスタートした。
要件定義に1カ月、実装に1カ月半、チューニングに1カ月でプロジェクトは完了。ネットワークの改変を除く導入コストも、約620万円で納まった。総務本部システム統括部の台井誠課長は「当時、経営層への稟議書には『eLECTRANの導入で年間400万円のコストを削減できる』としました。導入後に50数台の端末を撤廃しましたので、その目標はクリアできました」と説明する。
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