2005年10月に「caworld」カンファレンスで社名およびロゴの変更や「EITM」と呼ばれる新戦略を発表したCA。新生CAとして日本市場で最初に発表したのが企業全体のアイデンティティ管理を実現する新しいソリューション「CA Identity Manager r8.1」だ。そこで新製品の発表のため来日したCA eTrustシニアマーケティングマネージャ、Mathew Gardiner氏にCAの現状とセキュリティ管理戦略について話しを聞いた。
--2005年から2006年にかけては、CAにとって新しいCEOであるJohn Swainson体制が確立された1年でした。この1年でCAの何が大きく変化したのでしょう。
私は、CAによるNetegrityの買収に伴いCAの社員となりました。こにような企業の買収もCAにとっての大きな変化のひとつといえるでしょう。現在、CAが推進しているセキュリティ管理における戦略は、Netegrityが提供していた技術を中心に実現されています。そのため買収されたとはいえ、この1年でNetegrityのビジネスがさらに拡大したようなイメージを持っています。
--これまでNetegrityにとってCAは、一部ではパートナーであり、セキュリティの面では競合でしたが、CAの社員となってCAという会社のイメージは変わりましたか。
CAという会社は生まれ変わろうとしているということが社員になってすぐに理解できました。何がおきているかといえば“近代化”と言えるでしょう。歴史的に見てもCAという会社は、ほかのITベンダーとは少し違うイメージがありました。しかし経営陣も一掃され、いわゆるITベンダーに近いイメージになりつつあります。今後の方向性についてもすでに明確になっています。
--確かにこれまでのCAは、1500近い製品を7つのブランドで展開しており、何の会社なのかわかりにくいと言われた時期もありました。今回、発表したEITM(Enterprise IT Management)戦略は、新生CAの方向性を明確に表していますね。
その通りだと思います。CAに来て、EITMの話しを聞いたときに、CAという会社が何をしたいのかをすぐに理解できましたし、その中でセキュリティ管理という戦略がどのように位置づけられているかもすぐに理解することができました。EITMでは、セキュリティ管理はもちろん、すべての戦略において“統合(Unify)”と“簡略化(Simplify)”を実現しています。
ですからEITMは、CAのフォーカスを明確にするためにも非常に優れた戦略だと思います。フォーカスを明確にすると言うことは、実は大企業にとっては難しいことです。多くの企業がさまざまな言葉で戦略を発表していますが、ただのキャッチフレーズに終わってしまうことも少なくありません。一言で企業の方向性を表すのは簡単ではありませんが、CAのEITMは分かりやすくフォーカスも明確です。
CAは、セキュリティ管理やストレージ管理、エンタープライズシステム管理、ビジネスサービス最適化など、“企業のIT管理を統合し簡素化する”会社なのです。
--2005年10月に開催された「caworld」カンファレンスで、EITMをはじめ、社名やロゴの変更など、CAの方向性が示されたわけですが、ユーザーやパートナーなどの評価はいかがでしょう。
ユーザーやパートナーなどは、EITMについて基本的には理解を示してくれたと思います。しかし、CAの変化のすべてを瞬時に理解することはできないでしょう。ただ、これまで霧がかかっていて見えなかった部分が見えるようになったのではないかと思います。今後は、caworldで発表したことを実証していかなければなりません。caworldは、新しいCAのスタートであり、これからより深くCAを理解してもらうための活動を行っていかなければなりません。
--EITMの中でセキュリティ管理の位置づけをすぐに理解できたということですが、その点について聞かせてください。
組織におけるセキュリティの問題を考えてみると、まずシステムの環境がより複雑になっていることが挙げられます。数年かけて構築してきた企業のシステムは、異種混合環境になっているほか、社内、社外からのアクセスの機会が増加したことで、ますます複雑になっています。そのためシステムの管理や監視などへの対応が難しくなり、今やIT全体の問題に広がっています。このIT全体の問題においてセキュリティ分野を見てみると、同様の問題を見いだすことができるのです。