日立システム、人材育成システムに機能追加--個人と組織の能力を分析

田中好伸(編集部)

2006-02-17 09:00

 日立システムアンドサービス(日立システム)は2月17日、人材育成システム「リシテアCareer」に組織パフォーマンス分析機能を追加したことを発表した。2009年3月までにリシテアCareerの売上高4億8000万円を目指す。

 今回追加された組織パフォーマンス分析機能は、20前後の質問で個人のモチベーションと能力の発揮度合いを把握・可視化し、個人が所属する組織全体がどのような行動特性なのかを分析する。分析結果をもとに、個人の特性にあわせた人材育成施策を展開できるようになる。

「リシテアCareerには多くの企業が興味を持っている」石井清氏

 リシテアCareerは、個人の技術レベルを測定することで企業内にどの技術レベルがどれくらいいるのかを可視化する機能、部署ごとに個人のモチベーションや仕事環境への評価を把握する機能などを搭載していた。今回の組織パフォーマンス分析機能で、「人材育成に対して、より的確な投資ができるようになる」(執行役の石井清氏)という。

 同システムは「日立システム社内の人材育成システムをベースに開発」(石井氏)されたもの。そのために、個人の技術レベル測定に用いられているのは、ITスキル標準(ITSS)や組み込みスキル標準(ETSS)だ。石井氏は「基本的スキル評価の基準を、たとえば建設業なら建設業向けの基準に変更することで、業種ごとの人材育成システムに拡張できる」と説明している。

 リシテアCareerは、設計・カスタマイズ・導入などのシステム構築全般のサービスのほかに、導入前の人材育成施策に関するコンサルティングサービス、企業全体の人材育成計画に関する教育支援サービスも提供される。同システムは2004年10月にリリースされて以降、これまでに10社に導入されている。

 「少子化現象の進行で人材は先細りするという“量”の側面から、そしていわゆる2007年問題でリーダーシップやノウハウが喪失することによる“質”の側面から、企業内の人材確保は質と量の両方で問題を抱えている。この問題を解決するためには、現在抱えている人材を的確に把握して、効果的な育成と最大限活用することが必要になっている。つまり“人材”ではなく、“人財”として、有効的な戦略を立てる必要がある。リシテアCareerはその有効な手段になり得る」(石井氏)

 日立システムでは、「企業の“人財”戦略をより効果的に進める」(石井氏)ために、2007年3月までに「リシテアProject」と呼ばれるシステムを製品化することも明らかにしている。リシテアProjectは、受注するプロジェクトごとに、そのタイプや計画、工数、損益情報を把握するというものだ。同システムとリシテアProject、就業管理システムの「リシテアJob」、工数管理システムの「リシテアCost」を連携させることで、「どのプロジェクトにどの人間を配置するかをシミュレーションすることができる」(石井氏)という。

 リシテアシリーズの中核は、1994年にリリースされた就業管理のリシテアJobと工数管理のリシテアCostが中核。リシテアJobはこれまでにアサヒビールグループや味の素などの大企業を中心に、これまでに約500社に導入されているという。

 「外資系ベンダーがERPパッケージ(統合業務パッケージ)にも人材を管理する機能が搭載されている。しかし、たとえば就業管理を見ると、外資系企業の勤務形態と日本企業の勤務形態は大きく異なる。ある日本企業は1社の中で1000種類もの勤務形態を抱えている。そういった日本企業独特の人材管理に対応できたからこそ、リシテアシリーズは500社もの企業に利用されている」(石井氏)

 リシテアシリーズ全体の売上高は2005年3月期で11億6600万円。日立システムは2009年3月期に、リシテアCareerで4億8000万円、シリーズ全体で26億7300万円の売上高を目指す。

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