箱いっぱいのカセットテープをiPodに集約したLEC:教育現場での導入が進むiPod(3)

藤本京子(編集部) 2006年03月10日 22時52分

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 特集の1回目と2回目では、大学の授業に連動したiPodの活用法をレポートした。今回紹介するのは、通信教育講座にiPodを導入した事例だ。司法書士や会計士など、各種資格や国家試験の指導を手がける東京リーガルマインド(LEC)では、全国の主要都市に拠点校を置き、年間3600以上の講座を提供しているが、通信教育講座の新メニューとして2004年9月より「iPod講座」を追加した。

きっかけは「段ボール箱いっぱいのカセットテープ」

 LECが通信講座にiPodを導入するきっかけとなったのは、同校の提供する講座の中に、最大660時間、約350本分にものぼる音声カセットテープを伴う講座があったことだ。

「箱いっぱいのカセットテープがiPodひとつで提供できる」とLECの塩川氏

 その講座とは、司法書士の資格取得を目指す講座だ。実際のスクールに1年半通う場合と同じ内容を通信講座として提供するのだから、カセットテープの量が膨大なのも無理はない。LECでWeb制作部門を担当する塩川和生氏は、「段ボール箱いっぱいのカセットテープを一括で受講生に送っていたが、これでは教材を見るだけでやる気がなえてしまうのもわからないではない」と苦笑する。

 時代の流れでカセットテープという媒体そのものを使わない若者も増える中、このカセットテープの山をどうすべきか。LECでは、幅広い年齢層に対応するため、カセットテープの講座を残した上で、新たな媒体を使った講座の提供について検討を始めた。CDやMDという選択肢もあったが、提供する講座の1コマが3時間だったため、1つの媒体に1コマの授業が入りきらない。そこでハードディスク(HDD)搭載のデジタル音楽プレイヤーが候補に上がった。

 検討を開始した2004年の春、市場に出回っていたHDD搭載プレイヤーで660時間もの講座を一括で搭載できる容量を持ったデバイスをいくつか比較したところ、「学習用途に適しているという理由から、iPodを採用することになった」と塩川氏は話す。

 iPodがどう学習用途に適しているのか。それは、機械に強くないユーザーでも無理なく受け入れられるわかりやすいインターフェースを持ち、左右どちらの手でも操作ができるデバイスだったからだ。「iPodは、右利きの人が右手でペンを持ちつつ左手で操作することもできるし、左利きの人が右手で操作することも可能だ。当時発売されていた他社の製品は、ボタンが右側についていることが多く、右手で操作することを前提に作られていた」(塩川氏)

 こうして始まったiPod講座は、司法書士コースのみならず、ファイナンシャルプランナー(FP)や日商簿記、社会保険労務士、さらには英語のコミュニケーション能力を測るTOEICなど、各種コースでも提供されている。教科書の量に変化はないが、箱いっぱいのカセットテープがiPodひとつに収まるため、教材としての圧迫感が軽減されるのは間違いない。2004年9月の講座開設以来、iPod講座の受講者数は2006年2月末の累計で1000人を超えた。

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