シニアバイスプレジデント兼JBoss部門ゼネラルマネージャーとしてRed Hatの取締役会に加わることになったFleury氏は、今回の買収を「決定的な瞬間」と呼んだ。
「(オープンソースが)産業を変貌させつつあることを裏付ける新たな証拠と言える」(Fleury氏)
アナリストは全般的に同買収を好意的に受け止めており、Red Hatの株価も10日午後には9%増と跳ね上がった。JBossを取得したことで、Red Hatは製品ラインを拡充させられるようになったばかりでなく、Linux分野の競合相手であるNovellとの差別化を図る手段も手に入れた。だが、勢いづくRed Hatに大きな可能性があることは認めつつも、落とし穴がないわけではないとするアナリストや企業幹部も存在している。
Javaミドルウェア市場に参入すれば、Red HatはOracleやIBMをはじめとするみずからのパートナーと競争せざるを得なくなる。また、企業文化の違いやMarc Fleury氏のワンマン体制などが、両社の統合の障害となるだろうと、一部のアナリストは指摘している。
両社とも製品の販売対象をIT担当の上級幹部に定めているものの、Red Hatソフトウェアの一般的なユーザーはLinuxシステム管理者であり、一方JBossのソフトウェアは基本的にJava開発者向けとなっている。
オープンソースサービス企業Optarosのエンタープライズツールおよびフレームワーク担当ディレクターDave Gynn氏は、「両社はこれまで異なる種類の顧客を相手にしてきており、これが問題となる可能性がある。ビジネスチャンスの拡大という点ではよいことだが、同じ顧客に製品を販売したことがないのは痛い」と話した。
Szulikは、2006年の見込み収入が6000万ドル程度の企業を、最低でも3億5000万ドルにおよぶ資金をつぎこんで取得したことの意義が完全に明白になるまでには、あと2年から3年はかかるだろうと述べた。
今後のビジネスは安泰?
もっとも両社の合併は、企業ユーザーはオープンソースソフトウェアにLinux以上のものを求めているという考えを実証する好例であると、アナリストらは話している。
実際に、オープンソースデータベースおよびミドルウェアはオープンソース開発の中でも最も活気のある分野で、既存ベンダーに従来の戦略の見直しを迫るほどの勢いがある。
例えばIBMは、非常に小規模なオープンソースJavaアプリケーションサーバ企業Gluecodeを5000万ドルで取得した。またOracleやBEAは、自社のJavaサーバソフトウェアとオープンソースのJavaツールの互換性を高める取り組みを進めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ