ソフトウェア開発は「技術主導」から「ビジネス主導」へ--IBM、Rational部門のVP

柴田克己(編集部) 2006年05月01日 19時44分

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 日本アイ・ビー・エム(IBM)は4月28日、東京の青山ダイヤモンドホールにおいて、「IBM Rational Software Development Forum Tokyo」(RSDF)を開催した。

 今回のRSDF Tokyoのテーマは「Innovation Driven by Software(ソフトウェアが駆動するイノベーション)」。企業が経済活動において新たな価値を生み出すイノベーションを引き起こすために、近年では特にソフトウェアの存在が必要不可欠になっている。一方で、企業におけるソフトウェアの大規模化や複雑化、信頼性やセキュリティ確保に対するニーズ、短納期、コンプライアンスといった諸問題が、開発の難易度を増し、結果としてイノベーションの阻害要因ともなっている。

 企業のシステム部門、開発部門、開発会社を対象としたこのイベントでは、IBMの提供するRationalソフトウェア群や開発メソッドが、これらの阻害要因を取り除きつつ、企業がイノベーションを起こすためのソフトウェア開発をいかにサポートするかについて紹介する、多数のセッションが設けられた。

 午前中の基調講演を行ったのは、IBMでRationalサービス部門のバイスプレジデントを務めるWalker Royce氏。イベントテーマと同じ「Innovation Driven by Software」と題した講演で、旧来のテクノロジー主導型のウォーターフォール開発モデルから「ビジネス主導型の開発」へと移行していくことが、ソフトウェアでイノベーションを生み出すためのカギになると訴えた。

IBM、Rationalサービス部門バイスプレジデントのWalker Royce氏画像 IBM、Rationalサービス部門バイスプレジデントのWalker Royce氏

 ビジネス主導型の開発、つまりソフトウェア開発に対して企業のガバナンスが有効に機能する環境を作るためには、「コストとスケジュールの予測可能性が重要だ」とRoyce氏は言う。従来のウォーターフォールモデルによる開発プロジェクトは、「要求定義」「コーディング」「システム統合」「テスト」といった完全なシーケンスに従っており、全行程の40%近くがシステム統合とテストに割かれることで、全体で先送りとなる要素が増え、結果としてコストとスケジュールの予測が困難になる点を指摘した。また、あまりにもユーザーの要求定義を重視しすぎることも、全体でのスケジュールやコストが見えなくなる原因であるとした。

 「企業におけるソフトウェア開発は、橋の建設よりも映画制作に近い。成果物の内容と同様に、スケジュールやコストといったビジネス面での影響も考慮しなければならない」(Royce氏)

 Royce氏は、これらの問題を解消した「健全なプロジェクト」では「プロトタイプ作成」「アーキテクチャ構築」「ファンクショナルリリース」「プロダクトリリース」というシーケンスが用いられるべきとし、ビジネス主導型開発の6つの原則として「開発プロセスの採用」「優先度のバランス」「チームを横断した共同作業」「反復的なリリース」「抽象化のレベルを高める」「継続的な品質へのフォーカス」を挙げた。

 また、こうした開発モデルにおいてソフトウェア構築のコストを低減させるための変数には「複雑さ」「プロセス」「開発チーム」「ツール」の4つがあると指摘、ツールによる作業の自動化もさることながら、人手によるカスタムコード生成量を減らすことで「複雑さ」を下げつつ、適切な開発プロセスを採用することによって、大幅なコスト削減が可能になるとした。IBMでは、Rationalのツール群と、それにインプリメントされた独自のノウハウに基づく開発メソッドを通じて、ビジネス主導型の開発と、ソフトウェアによるビジネスの経済性向上を実現するという。

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