坂村健氏、サイコロ大のUWBアクティブ電子タグを披露

藤本京子(編集部)

2006-07-04 19:07

 YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(UNL)は7月4日、日立製作所 中央研究所と共同で、次世代無線方式のUWB(Ultra-Wideband、超広帯域通信無線)による、アクティブ型ICタグ「UWB Dice」(仮称)を開発したと発表した。UWB Diceの大きさは1平方センチメートルで、電源付きのアクティブ型UWBタグとしては「世界初で世界最小」(UNL)だという。

 UWBは、米軍の軍事技術として開発されたもので、米国では2002年より商用利用が認可されている。信号電力は低出力で、広い周波数帯域に拡散する通信方式。ノイズに強く、高速での通信が可能だ。UWBには、インパルス方式、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式などがあるが、UWB Diceは低消費電力で高精度測位などの特徴を持つインパルス方式を採用している。

UWB Diceについて説明するUNL所長の坂村健氏 UWB Diceについて説明するUNL所長の坂村健氏

 「UWB Diceは、150ミリアンペアのボタン型電池を採用しているが、電池の寿命は9年以上だ。また、測位は30cm、通信速度は10Mbpsで10m、250kbpsで30mとなっている。さらに、温度センサーも内蔵されている」と、UNL所長で東京大学教授の坂村健氏はUWB Diceの特徴について説明した。

 日本ではまだUWBは正式に許可されておらず、UNLでは特別免許を取得してUWB Diceの実験を行っているが、「日本でも2006年秋頃には許可が降りるだろう」と坂村氏。また、国際的な標準化については、「インパルス方式はIEEE802.15.4aの管轄で、2007年3月に終了予定だ。UWB Diceもこの標準に準じている」(坂村氏)としている。

 UWB Diceは、30cmという高精度な測位機能を持つため、これまで困難だった物品や人物の詳細な位置情報が取得できるようになる。

 UWB Diceが商用化された場合の価格は「数千円の下の方になるだろう」と坂村氏。実際には日立製作所が製造・販売を手がけることになるが、日立製作所 中央研究所のセンサネット戦略プロジェクトリーダー 工学博士 矢野和男氏は、「タグが普及して大量生産できるようになれば、(10円にはならないが)数百円での提供も可能だ」としている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]