基幹系と情報系を融合させてデジタル・ワークプレイスを実現--竹中土木:グループウェア最新導入事例(1) - (page 3)

みずほ情報総研

2006-07-05 23:10

 竹中土木のグループウェア利用方針などを、同社の情報システム部部長の須山章次氏と前出の松田氏に話を聞いた。

Q:クライアントサーバ型グループウェアからポータルへの移行というのは、当時としてはまだ新しい試みだったと思いますが、特に苦労された点はどのようなものでしょうか。

須山章次氏 「ルールが固まるまでに1年ほどかかりました」と語る須山氏

須山:当時はポータルの構築事例が少なく、まさに手探り状態でした。その中で特に苦労したのが、各コンテンツの運用管理ルールを策定することでした。というのもノーツのようなデータベース型グループウェアの場合は、データベース単位に管理部署を定めれば、あとはその管理部署がコンテンツの登録から削除まで全部をまとめて面倒を見るという簡単なルールで運用ができていました。

 ところがポータルとなると、これでは上手くいきません。蓄積だけでなく、業務に密接な部分が加わり、ポータル画面上ひとつの画面に複数種類の情報がまとめて表示をされるために、全社的に統一したルールでコンテンツを管理しないとならないのです。

推進委員会の下でルールを策定

Q:運用ルールはどのように決めていかれたのでしょうか。

須山:各部の部長などから構成される全社的な推進委員会の下で検討してルールを定めていきました。

 実際には、まずノーツ時代のルールをベースに叩き台を作って、それでシステム運用開始を迎えました。その後にシステムを運用しながら並行して、このルールを実際の業務やポータルの特性に合わせたものへ改訂していくという作業を行いました。特にワークフローなど複数部門に関連するものは、この推進委員会が調整の場となりました。最終的にルールが固まるまでには1年間かかりました。

Q:ポータルの場合は、コンテンツの配置やデザインなどもポイントになりそうですが。

松田:運用ルールにあわせて、コンテンツの配置もかなり見直しました。今の画面を見ていただくと、整然とされ見やすくなっていますが、最初はこんなに整理されていなかったのですよ(笑)

過去の情報を蓄積してナレッジベースの整備

Q:竹中土木の企業情報ポータルはグループウェアだけでなく、基幹システムまで統合するという、かなり完成度の高いものになっていますが、この後の取り組みとしてはどのようにお考えでしょうか。

松田美孝氏 「ナレッジベースの整備を進めています」と話す松田氏

松田:現在、ナレッジマネジメントの取り組みとして「ナレッジベース」の整備を始めています。

 これは過去の施工計画書など施工や原価計算関係の情報を成功事例として登録・共有する仕組みです。このナレッジベースの開発に当たっては、(機能面での観点から)StarOffice21ともMyQuickとも違うパッケージを選定しています。

Q:その他にそういった取り組みはありますか。

松田:過去にはナレッジマネジメントの取り組みとしては、フォーラムなどのコミュニティも試しましたが、発言がなかなか出ないなど、定着が進みませんでした。やはり発言を得点制にするなどのインセンティブがないと、こういったものは進まないようです。日本人の気質的に皆も前で発言するのは恥ずかしいというのもあるかもしれません。

Q:その中でナレッジベースを拡大するという狙いは。

松田:やはり業務上過去の実績が非常に役に立つからです。現在、竹中グループでは同業他社とも協働して地図情報データベースを構築して地図上に自社の施工実績などが表示される仕組みを開発中です。

 将来的には、この地図情報データベース上にナレッジベースや各工事担当者の過去の業務実績といった情報を連携させて、地図上の建物をクリックすると当時の図面や施工実績、担当者などの情報がその場で入手できるような仕組みを考えています。これにより、大きな事故や災害など何かあった際には、すぐに自社が手がけた物件を把握することができ、迅速な対応が可能になるとの効果が期待されます。

Q:このような情報系システムについては旧来、費用対効果が非常に説明しにくいといわれていますが、どのように対応していますでしょうか。

須山:確かに費用対抗は説明しにくいのですが、我々は当初、このシステムを構築する際にコンサルティングを受けています。その際に掲げた目的や狙いとする効果にあわせて、導入後の各種の実績を測定し検証を行っています。

 すでにこの分析については、2004年11月と2006年2月の2度調査を行い、経営層にも報告済みですが、定量効果と定性効果に分けて分析を行い、定量効果のほうでは紙の削減量や申請・手続きにかかる時間のうち削減できたもの・スピードアップの度合いなどを集計して報告をしました。現在のところ経営層からも合格点をいただいています。

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