日本IBMは7月24日、PCのユーザー情報を基にシステムが接続可能な領域を自動判別できるセキュアな新ネットワークシステムを東映アニメーション向けに構築したことを発表した。
東映アニメーションでは、コンテンツのデジタル化の進展、DVD、ライセンス事業などのビジネスの多様化、社外クリエイターとの協業作業の増加など、ビジネス環境の変化に対応した新しいIT基盤の構築が急務となっていた。中でも、社内システムのセキュリティ強化が重要になっていたが、従来のシステムでは各部門ごとに必要なネットワークを随時追加していたため、全社的な一元管理が難しい状況にあった。
新システムでは、使用するユーザーごとの認証情報をもとに、システム側でどの領域まで接続可能かを、認証VLAN技術を活用して自動的に判別できる。アクセスできる領域を明確化したことで、取引先との密な連携を実現するとともに、セキュリティも強化した。
また、ネットワークの全社的な一元管理とログの収集で、障害発生時の原因特定と対策が迅速かつ容易になった。さらに、ファイアウォールやVPN機能などを仮想化/統合化することにより、運用も効率化した。これらの機能により、さまざまな情報セキュリティのリスクのうち、PCや紙の資料の盗難などを除いた約6割以上が削減される見込みだ。
同社では、新システム構築に伴い、各部門や機能ごとに分散していたPCサーバなど18台を、IBMの「IBM eServer i5」1台に集約し、運用の最適化を行っている。今後は、同社が保有する約9100話のアニメーション作品の作品情報や完成品の素材データを一元的に保存するためのストレージ統合も行う予定という。