日立の古川社長、「次の社会を支えるのは“知”」

藤本京子(編集部) 2006年07月26日 20時33分

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 日立製作所主催の「HITACHI uVALUEコンベンション2006」が7月26日、都内にて開幕した。今回のコンベンションは、同社 執行役社長の古川一夫氏が4月に社長に就任して以来、初めての大型自社イベントだ。基調公演に立った同氏は、現在の情報化社会から次の社会に移り変わるにあたって重要なことは「知」だとした。

 古川氏はまず、これまでの社会がどう変化してきたかについて語った。1910年に創業した日立は、1世紀近くモノづくりを柱に発展を続けており、「工業社会」の中心を担ってきた。それが、モノが多様化し機能が高度化するにつれ、モノに情報が加わるようになり、「情報社会」へと発展を遂げた。

古川社長 知的創造社会について語る日立の古川社長

 その一例として古川氏は、電話の発展について触れた。「固定電話が登場した頃は、電話の置かれた場所で通話をするためのものだったが、携帯電話が登場して移動中の通話も可能になった。そこにメール機能が加わり、新たな使い方が生まれた。今ではメール機能だけでなく、写真やウェブ閲覧、時計、お財布、音楽プレーヤ、テレビなど、さまざまな機能が加わり、もはや電話と呼んでいいのかどうかさえわからなくなっている」(古川氏)

 このように社会がどんどん豊かになり、情報が氾らんする中、「あふれる情報の中から最適な情報のみを入手し、いかに使いこなすかが大切になる。次の社会では、情報を使いこなすための“知”が重要だ」と古川氏は指摘し、情報社会の次の社会を「知的創造社会」と呼んだ。

 この知的創造社会では、利便性を向上させるためにITが重要な役割を果たす。情報をつなぎ、情報を伝え、情報をため、情報を守るといった役割は、サーバやミドルウェア、ネットワーク、ストレージ、セキュリティなどのIT技術が担うためだ。ただし、「ここでITが全面に見えてしまってはいけない。ITは見えなくなることが大切だ」と古川氏はいう。それは、知的創造社会の中心が「人」であるためだ。

 古川氏は、こうした社会に向けて日立が取り組んでいることについて説明した。それは、「電力や物流、都市開発といった実業と、ネットワークやサーバ、ストレージ、ソフトウェアなどのIT技術に取り組む双方の総合力を持った日立が、顧客と共に価値を作り上げることで、さらに革新的な価値を生み出している」ということだ。これが「uVALUE」だと古川氏はいう。

 例えば日立では、東日本旅客鉄道(JR東日本)と共同で、JR東日本の発行するICカード「Suica」をマンションの鍵として活用できるSuica対応セキュリティマンションを開発したほか、ニチレイと共同で設立した日立フーズ&ロジスティクスシステムズにて、食品・低温流通業界向けのITソリューションなどを提供している。

 古川氏はまた、早稲田大学や慶應義塾大学などの国内の大学のみならず、米国やヨーロッパ、アジアなども含め30校近い大学と産学連携の取り組みを進めていることにも触れ、「これまでのように特定技術での連携のみならず、総合的な連携に向けて取り組んでいる。これこそ“知”を連携させるための動きだ」とした。

 古川氏は、「次の時代は、モノと情報だけの世界に“知”が加わる。知を創造し、つなぎ、伝えるためにITを活用し、情報と融合させるサービスプラットフォームが社会の基盤となる。日立の総合力で、新たな価値を生み出し、この知的創造社会に貢献していきたい」と述べ、講演を締めくくった。

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