ビジネスユニットのコラボと金融業界の景気回復が好調の要因--日本NCRの2006年上半期

山下竜大(編集部)

2006-08-04 17:18

 日本NCRは8月4日、2006年上半期の業績について紹介するプレス向けの説明会を開催。今年2月に明らかにした売り上げ7%増の目標に向け順調にビジネスを推進していることを発表した。

 日本NCRでは、“Focus&Speed”を戦略テーマに、売り上げ7%増と経常利益の黒字の維持を目標に掲げ、テラデータ事業、流通システム事業、金融システム事業、システム・メディア事業、カスタマーサービス事業の5つの事業を推進している。

 当初は、テラデータ事業と流通システム事業を成長分野に、金融システム事業とシステム・メディア事業を堅調維持分野に、カスタマーサービス事業を効率向上分野に位置づけていたが、金融業界の景気が回復したことから、金融業界向けソリューションが好調な業績を牽引。金融分システム分野が新たに成長分野に追加されている。

NCRの細井氏 日本NCRの代表取締役社長、細井英樹氏。

 日本NCRの代表取締役社長、細井英樹氏は、「2006年上半期は対前年比で106%、第2四半期は117%の売り上げを達成することができた。最大の要因は、金融業界向けソリューションが好調なことと、カントリーモデルの採用による各ビジネスユニット間のコラボレーションの効果が現れ始めたことだ」と話す。

 これまでNCRでは、ビジネスユニットごとに独立してビジネスを推進し、米国本社にレポートを行っていた。しかしこの体制では、米国本社の承認なしには意志決定ができないために、ビジネスの機会を損なうこととなっていた。そこで、2006年4月1日よりカントリーモデルを採用。すべての意志決定を日本法人で行えるようにしたことで、より迅速で効果的な、質の高い提案を顧客に提供できるようになったという。

 細井氏は、「ビジネスユニットを横断する営業組織を設立することができ、顧客とのリレーション拡大と効率化が可能になった。また、顧客情報の量が増大し、提案範囲の拡大とスピードが大幅に向上している。こうした組織の設立は、顧客からも高く評価されている」と話している。

NCRの齋藤氏 2006年3月1日付けで日本NCRの代表取締役副社長に就任した齋藤夫美雄氏氏。

 日本NCRではまた、より一層のビジネスの拡大を目的に、2006年3月1日付けでカスタマーサービス事業を指揮する齋藤夫美雄氏、2006年5月1日付けで流通システム事業を指揮する三ツ森隆司氏の2人の代表取締役副社長を社外より迎えている。齋藤氏は日本ATMの社長として、三ツ森氏はコンピュータ・アソシエイツ(現在は日本CAに社名変更)の社長としての実績が認められての採用となった。

 齋藤氏は、「企業内のリソースを有効活用するためにはアウトソーシングが重要になる。しかし、単なるアウトソーシングの活用ではなく、戦略的なアウトソーシングの活用が不可欠だ。アウトソーシングは、それを利用する企業の価値と生産性を向上させるものでなければならない」と話す。

 そこで、同社が提供するのが「NCR Managed Service」だ。NCR Managed Serviceは、システムの構築から導入、運用/管理、保守、教育、廃棄に至るまで、情報システム部の業務を高品質かつ高効率で提供。TCO(総保有コスト)を削減し、業務効率と顧客満足度の向上を実現することができるという。「サービスが無ければ、ソリューションとは言えない」と齋藤氏は話している。

NCRの三ツ森氏 2006年5月1日付けで日本NCRの代表取締役副社長に就任した三ツ森隆司氏。

 一方、三ツ森氏は、「機械式レジスターからスタートしたNCRにとって、流通システム事業は最も重要なビジネスといえる。現状では、堅調に成長を続けているが、より一層の拡大に向け努力していきたい」と言う。

 流通システム事業では、細井氏が強い信念を持って推進しているセルフレジシステム「NCR FastLane」の普及を2007年に向け、いよいよ本格化させるほか、たとえばシステム・メディア事業が推進するRFIDのソリューションやテラデータ事業が推進するCRMソリューション、金融システム事業の決済システムなどを組み合わせたような基幹系システムビジネスの確立も目指している。

 そのほか、NCR CorporationのTeradata部門は、データウェアハウスやビジネス・インテリジェンス(BI)の新たな開発拠点となる「グローバル・コンサルティング・センター(GCC)」を、2006年8月16日に中国の大連に開設する。日本NCRでは、国内の開発エンジニアに加え、GCCのエンジニアを活用することで、テラデータ事業のより一層の拡大を目指す。

 当初は50名体制でテラデータ事業を中心にサポートを提供していくが、その後は金融システム事業や流通システム事業のサポート拠点としても機能する予定。2006年中には250名のサポート体制を確立する計画としている。

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