役割の拡大でさらに重要性が増すSharePoint - (page 2)

柴田克己(編集部)

2006-08-04 18:27

基本機能と開発環境の双方を強化

 コンテンツ管理機能は、Word、Excel、PowerPointをはじめとするOfficeアプリケーションをフロントエンドとして利用し、文書の作成からワークフロー、ポリシー管理、セキュリティ保持といったドキュメントライフサイクル管理機能を実現するためもの。コンプライアンス意識の高まりなどをベースに、現在、高いニーズのある機能でもある。

 基本的な機能は製品に含まれる形で用意されており、業務の要求に応じた機能拡張を行うための開発環境が用意されている。開発モデルとしては、最も基本的な「テンプレートカスタマイズ」から、「SharePoint Designer」を用いての開発、「Visual Studio .NET」による開発と、開発スキルや構築したいシステムの複雑さに応じた複数の方法が用意されている。

 加えて、検索機能の強化も、SharePoint 2007のアピールポイントのひとつとなっている。マイクロソフトがインターネット上のサービスや、Windows、Officeなどで採用している同社標準の検索技術がSharePointにも採用され、ポータルとワークスペースでの一貫した検索作業を行うことが可能になっているという。もちろん、検索アルゴリズムは企業向けに最適化されたものとなっており、検索範囲の指定や企業内の人物の検索に加え、コネクタ経由で各種の業務アプリケーションに対するクローリングとインデクシングを行うことで、ビジネスデータとドキュメントの横断的な検索も実現できる。検索システムとしての管理機能の面では、クロールパフォーマンスの向上に加え、クロールのログ、クエリレポートといった各種のデータを参照することが可能になっているという。

 一方で、ポータル構築基盤としての機能も強化されている。ユーザーインターフェースの改善に加え、今回のバージョンでは特に「ソーシャルネットワーク」の概念を意識した機能が盛り込まれている点が特徴だという。一般的なSNSサイトのように、自分で参照するプロフィールと社内の別の人間が参照可能なプロフィールを出し分けられるようになるほか、所属部署やプロジェクトをベースにした、自分との「親密レベル」に応じた人物のグループ分けも可能となる。さらに、ある特定の人物にまつわる情報が更新されたときに、そのことが通知される機能なども利用できる。このソーシャルネットワークを意識した機能に加え、ブログやWikiをSharePoint上で実現するための機能の追加、RSSフィード生成、RSSビューワ機能など、いわゆる「Web 2.0」的なものが多く加えられている点も特徴的である。

クライアントソフトとの高度な連携

 また、ビジネスプロセスやBIプラットフォームの構築に有用な機能として「Formsサービス」「Excelサービス」という形で、InfoPath、Excelの各エンジンをサーバ側で利用する仕組みも用意される。Formsサービスは、InfoPathで設計されたXMLフォームをSharePointに発行することで、ブラウザ上でのフォームへの入力や閲覧が可能になるもの。Excelサービスは、Excel 2007で作成されたシートを発行すると、それをWebパーツ内で表示できるようにするもの。これにより、各種のデータ操作や分析が一般的なウェブブラウザから可能になり、各クライアントソフトを持たないユーザーとの高度なコラボレーション、データ共有がSharePoint経由で実現できる。

 そのほかの特徴的な機能としては、Outlookをはじめとするクライアント製品との連携による「オフライン」への対応がある。例えば、Outlookの場合であれば、オフラインでのデータ変更をキャッシュ上で管理し、ネットワークでの接続時に内容の同期を図る。これにより、OutlookのスケジュールをSharePointを使って共有することが容易になるという。

 Officeのクライアント製品群とのより緊密な連携に加えて、広範な基本機能をベースとした、開発プラットフォームとしての拡張性の高さは、SharePoint 2007の顕著な強化点ということになるだろう。同社が「SharePoint 2007は、ユーザーにとっても、マイクロソフトのパートナーにとってもメリットが大きい製品になる」(昇塚氏)とする根拠はそこにあるようだ。

 なお、SharePoint Sever 2007には「Standard CAL」と「Enterprise CAL」という2種類のクライアントアクセスライセンスが用意されている。コラボレーション、ポータル、コンテンツ管理、検索の各機能を利用するユーザーはStandard CALが、それに加えて、ビジネスプロセス管理、BI、ビジネスデータ統合といった機能を利用したい場合にはEnterprise CALが必要になる。各ユーザーが利用する機能との兼ね合いで、それぞれのCALを選択できるようになっているという。

Excelサービス画像 SharePointのExcelサービスにより、発行されたExcelシートをサーバ上で展開し、閲覧、操作することが可能になる。

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