しかし、OpenVZプロジェクトのスポンサーで、より多くの機能を備えたOpenVZの商用版、「Virtuozzo」を販売するSWsoftは全く反対のアプローチを取っている。SWsoftの最高経営責任者(CEO)、Serguei Beloussov氏は、同社は米国時間8月16日に、Xen仮想マシンも管理可能なcontainer管理ツールを今後提供していくと発表したと述べている。
リソースの「ダイエット」が可能に
containerを使用する主な理由は、まるごと仮想化するよりもコンピュータリソースが少なくて済むからだ。
例えば、OSのコンポーネントとそのアプリケーションはかなりの数に及ぶが、一度だけメモリに搭載されれば、複数のcontainerが同じものを使用できる。しかし、containerそれぞれのデータの格納には、固有のメモリが必要になる。
containerを導入する利点としては、ほかにもプロセッサのリソースをより効率よく使用できる点が挙げられると、Penguin Computingの最高技術責任者(CTO)でLinuxを使ったスーパーコンピューティングに詳しいDon Becker氏は述べている。例えば、OSのメモリアドレスを、コンピュータが必要な情報を取り出すのに実際に用いる物理的なロケーションに変換する、プロセッサ上のトランスレーション・ルックアサイド・バッファ(TLB)の場合、containerを使うことで効率が劇的にアップすると同氏は説明する。
Sun MicrosystemsのエンジニアJohn Clingan氏は、Sunの別名「Zone」とも呼ばれるcontainerの場合、1つにつき60Mバイトしか余分にメモリを消費しないと説明する。同氏は、containerを使うことで1台のサーバーをどれだけ活用できるか、その実例を知っている。
「Zoneは非常に軽量だ。メモリ8Gバイトと4基のプロセッサを搭載した『Apache』サーバに、600のcontainerを組み込んだこともある」(Clingan氏)
万能ではないcontainer
Xenの開発を手がける新興企業XenSourceのCTO、Simon Crosby氏は、containerは有用だが、万能薬ではないことを認めている。
「container式の仮想化は、個々のアプリケーションに異なるOSイメージを必要としない場合には素晴らしく機能する」と、Crosby氏は言う。このような状況は良くあることで、例えば、SWsoftのVirtuozzo--OpenVZの兄的存在--が広く使われているウェブサイトのホスティング企業などがそのケースに該当する。
しかし、「ITシステムにレガシーアプリケーションや多様なOSが存在し、それぞれが独自のラッパー、すなわち別々のバージョンのOSやドライバを必要とする場合には、containerでは不十分だ」とCrosby氏は述べている。
とはいえ、Xenのhypervisorを使った仮想化にも制約はある。実際問題として、リリース当初の段階では、異なるOSを動作させるXenの性能には限界がある。一例を挙げると、Novellは、Xen導入後のSLES 10サーバについても、RHELやMicrosoft Windows、Solaris、SLESの既バージョンの使用に関しては2007年前半まで企業へのサポートを提供しないとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ