「人」「IT」「ビジネス」すべてのライフサイクルに対応するHPのID管理ソリューション

谷川耕一

2006-09-26 12:47

 内部統制やコンプライアンスが企業の課題となる以前から、ID管理製品は多くのベンダーからさまざまなものが市場に投入されてきた。一見してどの製品も実現できることには差がないように思われ、ユーザーにとってID管理製品選択のポイントを見極めるのは難しい。

 そんな中、新たな市場の要求に応えるべく、日本ヒューレット・パッカード(HP)は2006年9月1日からID管理の監査業務を自動化する製品「HP OpenView Select Audit」の販売を開始した。これに、すでに提供しているユーザーIDおよびパスワード設定の自動化を実現する「Select Identity」、承認のポリシーを定義しアクセス管理を実現する「Select Access」、シングルサインオンをセキュアかつプライバシーを保護した形で実現する「Select Federation」の3つを加え、「HP OpenView Identity Management」というスイート製品として提供する。

 米HPでID管理製品担当 最高技術責任者を務めるJason L. Rouault氏の来日に伴い、同社のID管理のソリューションについて話を聞いた。

--まずID管理を取り巻く市場の状況について教えてください。

Rouault氏 HPのID管理ソリューションについて説明するRouault氏

 ID管理については、ここ最近コンプライアンスというキーワードが市場を牽引しています。セキュリティリスクとコンプライアンスリスクという2つのリスクをいかにして軽減するかが鍵です。そして、ID管理のプロセスを自動化することでコストを下げるというのが、現状注目されている課題の1つとなっています。

 現状のシステムは複雑性を増し、ユーザーの数も種類も増加しています。また、その複雑なシステムのそれぞれに独自のセキュリティポリシーがあり、管理者がいて、保守体制が敷かれています。これらの管理作業には手作業も多く、人為的エラーが発生するリスクが存在します。統合的なID管理ソリューションでこれらを管理することで、自動化し手作業を廃して、企業はコスト削減と同時に安全性を高めることができます。

 従業員が退職した際に、速やかにすべてのIDを廃止する。これが実現できないとコンプライアンス上極めて重大なリスクを伴います。また昨今の企業は変化が激しく、役職が上がったり担当地域が変わる、あるいは組織変更や企業統合などが頻繁に発生し、そのたびに従業員の権限は変化します。この変化に迅速に追随できるID管理が必要となっているのです。

--そういった状況下で、HPのID管理ソリューションの特長はどこにあるのでしょうか。

 HP製品の特長の1つは、エンドツーエンドで包括的なソリューションとなっていることです。ID管理をトータルでサポートする4つの製品を提供しており、それぞれの製品がよく連係して機能するほか、それぞれを独立して利用することもできます。ID管理をライフサイクルとしてとらえ、継続的に管理できるのです。コンプライアンスへの対応は、単に仕組みを作り情報を集約して年に一度か二度のレポート作成することではありません。ライフサイクルで考え、警告し、アラートを出し、証明するといったことを、継続的に実現できなければならないのです。

 もう1つの特長は、HPのソリューションの方向性が広がりを持っていることです。通常のID管理ソリューションは、アプリケーションやWebサービスの領域をターゲットにしたものがほとんどです。HPでは、その下の階層にあるネットワークやOS、ストレージといったインフラ部分はもちろん、ユーザーが利用するクライアントやデバイスといった上の層に対してもID管理を展開しようとしています。この両方向への広がりで、従来HP OpenViewで実現してきたIT管理、サービス管理といったことにID管理を加え、システム環境全体の管理を効率的に実現しようとしているのです。

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