内部統制の実現にITをどう活用するか

友永慎哉 2006年11月09日 18時09分

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 「我が校にも世界史を履修していない3年生がおりました」

 といえば、全国の高校を揺るがしている必修科目の未履修問題だ。学習指導要領で定められた必修科目の代わりに、受験に関係する科目を生徒に履修させている高校が続出した。そのため、卒業できない高校3年生が大量発生する可能性もあり、深刻な状況となっている。

 一方、違う視点から見ると、この話題では多くの高校が、比較的正直に不正を報告していることに気付く。10月27日付けの共同通信の記事によれば、該当する高校は全国41都道府県、399校にも上る。学校側とすれば、虚偽の内申書を書いたという意味で、私文書偽造を問われてもおかしくはない。それでも、「自首」が多かったことには、「不正を隠し通すことはできない」というここ数年で急速に高まっている基本的な考え方が背景にあると考えられる。

 「時代の寵児」としてもてはやされたライブドア前社長の堀江貴文氏や村上ファンド前代表の村上世彰氏が、不正(証券取引法違反)を問われ転落したことも影響を及ぼしているかもしれない。業務の遂行をITに依存している現在、デジタル形式で残された不正の痕跡を隠し通すことはできない。

 いま組織には、社内と社外の区別なく、ビジネスが健全に運営されていることを財務の観点を中心にして証明することが求められている。しかも「だれがいつ見ても」という条件付きだ。それを実践するためのキーワードとして注目されているのが「内部統制」である。

 法制度面でもこの動きが出てきている。今年6月に「金融商品取引法」が可決された。いわゆる日本版SOX法だ。これにより、上場企業やその連結子会社は、監査法人による監査を受け、内部統制報告書などを提出することによって、自社の財務報告が正当であることを証明しなくてはならない。

 金融取引取引法が日本版SOX法と呼ばれるのは、もともと米国で2002年に企業改革法であるSarbanes-oxley(サーベンス・オクスリー)法が施行され、その日本版という位置付けで取りまとめられたからである。

 Sarbanes-oxley法は、企業の財務報告の透明性を高めるため、監査制度の改革や経営者の投資家に対する責任や罰則を定めたもの。米国では2001年から2002年にかけて、不正会計問題が勃発した。2000年度の全米売り上げで7位だった大企業であるEnronや、通信大手のWorldcomが、不正会計により倒産を余儀なくされた。こうした問題を未然に防ぐために、Sarbanes-oxley法が制定されたわけだ。

 日本版SOX法は2009年3月期から適用される予定。当然だが、法律化したということは、違反すれば犯罪者として罪を問われることになる。実際に、Enronの元CEO、Jeffrey Skilling氏が24年4カ月の実刑判決を受けたことが先日報じられた。経営者は詳細も含めて、対応に本腰を入れなくてはならない状況なのである。

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