Barcelonaは、性能を向上させるために、いくつかの新機能を採用していると、Allen氏は説明する。以下にその例を挙げる。
- BarcelonaはAMDで初めてレベル3(L3)キャッシュを搭載したプロセッサだ。キャッシュメモリはメインメモリよりも高速で、Intelではもっぱらキャッシュを大量に搭載することで、プロセッサの性能を向上させてきた。Barcelonaのコアは、それぞれに64キロバイトのレベル1データキャッシュ、64キロバイトのレベル1命令キャッシュ、および512キロバイトのレベル2キャッシュを備えるほか、4コア全部で共有する2Mバイト(AMDによるとさらに容量を増やせるという)のL3キャッシュを搭載する。
- AMDではBarcelonaのコアを再設計した。これは、同社が2003年に32ビット「Athlon」のプロセッサを現行の64ビットに移行して以来、最大の変化だ。今回の再設計の規模は、AMDがOpteronに対し長年にかけて施してきた小さな調整と、Intelが「NetBurst」アーキテクチャから現在の「Core」デザインに移行する際に行った、白紙の状態からの再設計との中間ぐらいだと、Allen氏は述べている。
- 数学的演算を行う浮動小数点エンジンの高速化。チップの機能としては整数演算ほどの重要性を持つわけではないが、長い間Opteronの強みだった。同一のクロック周波数で比較すると、Barcelonaは1コアあたりで現行のOpteronの1.8倍の性能を持つ。そして、クアッドコア設計を採用したことにより、Barcelonaプロセッサ全体では3.6倍向上すると、Allen氏は説明する。
しかし、すべてが向上したわけではない。特に、Barcelonaのクロック周波数はAMD製のデュアルコアプロセッサよりも低くなる。クアッドコアプロセッサでは回路構成数が増加するので、こうしたことはよくある。プロセッサの動作速度を落とさない限り、回路構成数が多いほど、電力消費量と廃熱が多くなるからだ。
AMDでは製造プロセスを90ナノメートルから65ナノメートルに移行しており、これにより、チップの面積は同じでも、より多くの回路を組み込むことが可能になる。Allen氏によると、面積あたりの回路数が増えても、Barcelonaではプロセッサ自体の動作速度はデュアルコアより遅くなるという。ただし、たとえ個々のジョブが完了するのに今までより時間がかかるとしても、同時により多くのジョブをこなせるので、プロセッサの速度をある程度犠牲にしてもクアッドコアを採用する価値はあると、同氏は主張する。
「デュアルコアからクアッドコアへ移行した場合、その性能の向上は、周波数のわずかな低下に勝る」と、Allen氏は言う。同氏はBarcelonaのクロック周波数について明言を避けた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ