シスコシステムズ、ソーシャルネットワーキング企業の買収を発表へ

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、長谷睦 2007年02月09日 19時40分

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 Cisco Systemsは、サンフランシスコを拠点とする小規模なソーシャルネットワーキングサービス(SNS)企業であるFive Acrossを買収することで、巨大メディア企業へのサービス提供を目指す同社の、最初の一手を打とうとしている。

 Ciscoでは、米国時間2月9日に、従業員11名からなるFive Acrossの買収を発表する計画だ。Five Acrossは、大企業がわざわざスタンフォード大学卒の技術者チームを雇わなくても、自社のウェブサイトにSNS機能を簡単に搭載できるようにするソフトウェアを開発してきた。このソフトウェアを使えば、企業はコミュニティーを構築でき、ユーザーはオーディオ、ビデオ、写真の共有や、ブログ、ポッドキャスト、プロフィールの投稿ができる。

 Ciscoは買収条件について明らかにしていないが、買収手続きは2007年会計年度の第3四半期(末日は2007年4月28日)中に完了する見通しだ。

 インターネット内でデータをやりとりするためのハードウェアを販売しているCiscoが、ソフトウェアベースのSNS企業を買収するとは、一見奇妙なことのようにも思えるが、同社の動向を追うアナリストたちによると、今回の買収は、実際にはCiscoの長期的戦略にかなったものだという

 IDCのシニアアナリスト兼バイスプレジデントのDanielle Levitas氏は、次のように述べている。「SNSでは、より多くの訪問者を集めることが肝心だ。そして、インタラクティブな性質を持つため、ユーザーはこれを利用して、写真やビデオのダウンロードやアップロードを行っている。つまり、メディアをストリーミングしているのだ。これによってネットワークのトラフィックは増加しており、さらに多くの容量が必要とされている。そして、Ciscoはこうしたインフラすべてを提供する企業だ」

 Ciscoは1年以上前から、単なる「インターネットのパイプの提供役」を越えて、自社の製品ポートフォリオを拡大する戦略を実施してきた。今ではビデオ、ホームネットワーキング、さらには家電製品など、より消費者に焦点を合わせた新しい市場へ積極的に攻め込んでいる。

 2006年には、デジタルメディアコンテンツの所有者向けに製品の開発と販売を行うMedia Solutions部門を設立した。同部門を率いるDan Scheinman氏は、Ciscoにとっての次のステップは、消費者の家庭に届けられる映画、テレビ番組、音楽といったマルチメディアコンテンツの製作会社と、より密接に協力していくことだと述べている。

 Ciscoの幹部たちは、今回の買収は、同社のデジタルメディア戦略の基礎となるものだと述べている。というのも、SNSは、人々がコンテンツにアクセスし、発見する重要な手段になっているからだ。SNSは、映画会社やテレビネットワークなどの巨大メディア企業がコンテンツをインターネットに移行していく中、これらの企業にとって非常に重要なものになっていくとみられる。

 ウェブ、携帯電話、iPodなどのモバイル機器など、人々がコンテンツに触れる手段が多様化するにつれ、メディア企業はブランド力を維持するために、こうした手段を手にした消費者とのつながりを維持し続ける必要がある。

 すでにWalt Disney Companyは、一大ブームとなっているSNSの重要性を認識している。同社は最近、ウェブサイトを刷新し、子供向けSNSを作成した。子供たちはゲームで遊んだり、音楽ビデオを観たり、ティンカーベルなどのディズニーキャラクターでウェブサイトをカスタマイズしたり、他の子供とチャットを楽しんだりできる。

 Disneyの新しいウェブサイトは同社内で作成されたもので、設計には1年以上を要している。しかし、CiscoはFive Acrossのソフトウェアを使えば、他のメディア企業は、これほどの時間をかけずに同様の機能を構築可能になるだろうと期待している。

 Ciscoのメディア市場へのアプローチは、同社が他の市場に新たに参入した時の手法と非常に似ている。同社の幹部たちによると、Five Acrossの買収は手始めに過ぎず、これからは同様の買収が数多く行われるはずだという。とは言うものの、Ciscoが今後、目指す製品ポートフォリオを構築するために、他にどのような要素が必要だと考えているのかは、今のところ不明だ。

 しかし、明らかになりつつあることが1つある。Ciscoはこの新しい市場に進出する中で、GoogleやYahoo、Microsoftなどの新たなライバル企業に直面するだろうということだ。Google、Yahoo、Microsoftはそれぞれ、独自のSNSサイト、もしくはウェブサイト内へのSNS機能構築を支援するツールを提供している。これまでのところ、これらの企業はユーザー個人のブログやウェブサイトにSNS機能を搭載させることに注力している。大企業に直接販売できる包括的なソリューションを開発した企業はまだない。

 「今後、Ciscoがライバルと考える企業は変わっていくはずだ。しかし、それは一夜にして起こることではない。YahooやGoogleはこれらのツールのいくつかを断片的ではあるがすでに提供している。そして、すべての人が、今すぐCiscoのソフトウェアを購入しようと殺到するような状態ではない」と、IDCのLevitas氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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