EMCはなぜRSAを買収したのか--両社幹部が語る

藤本京子(編集部) 2007年02月27日 20時59分

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 2006年6月、EMCはRSA Securityの買収を発表した。その後、同年9月には米国にて買収が完了し、RSA SecurityはEMCのセキュリティ部門として再スタートしている。日本ではまだ別会社同士のEMCジャパンとRSAセキュリティだが、2007年1月に入って両社はようやく共同で営業活動を開始した。EMCジャパンとRSAセキュリティの両社は2月27日、プレス向けラウンドテーブルにて、今回の買収の意味を説明した。

 ストレージ関連企業とセキュリティ企業の統合といえば、2004年12月のSymantecによるVeritas Softwareの買収や、2005年6月のNetwork Appliance(NetApp)によるDecruの買収など、すでに前例は多い。こうしたことから、EMCジャパン 執行役員 マーケティング 兼 パートナーアライアンス統括本部長の古谷幹則氏は、「EMCはむしろもっと早くこの分野に取り組むべきだった」と述べる。

山野氏 RSAセキュリティ 社長の山野修氏

 RSAセキュリティ 代表取締役社長の山野修氏は、セキュリティ市場に変化が起こっているという。それは、これまで外部からの脅威に対し、VPNやファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、アンチウイルスなどで対応することが中心だったが、「今は内部情報をいかに管理し、保護するかが重要となっている。その対策としてRSAでは、認証とアクセス管理、データ暗号化、権限管理などのソリューションを提供している」と話す。

 EMCがRSAに目を付けたのは、こうした市場の変化に対応するためだ。EMCでは、情報ライフサイクル管理(ILM)を実現するためのソリューションを提供していたものの、「ILMの中で内部情報を安全に保護するためには、ID管理製品がどうしても必要だった」と古谷氏。他社がセキュリティ企業の買収に積極的なのも「セキュリティは重要な差別化要因となるからだ」と古谷氏は説明する。

古谷氏 EMCジャパン 執行役員の古谷幹則氏

 同時に古谷氏は、NetAppのDecru買収については「やられたと感じた」と明かす。それは、EMCがDecru製品を取り扱うリセラーでもあるからだ。現在もEMCとDecruのパートナー関係は続いているというが、「RSAの買収により、部分的にはDecru製品からRSAへの置き換えが可能だ」(古谷氏)としている。

 RSAがEMCの一部署となったことで、今後開発部分での連携が強まるのはもちろんだが、EMCにとってはRSAのブランド力も魅力だったようだ。古谷氏は、「EMCのロゴよりも、RSAのロゴは知名度が高い。RSAのSecureIDのトークンは、日本でも三井住友銀行やジャパンネット銀行などが採用しており、一般ユーザーがRSAのロゴを目にする機会は多い」と話す。EMCがセキュリティベンダーとしての知名度を上げるには、RSAを統合した方がメリットがあると判断したわけだ。

 一方、山野氏は、「RSA Conferenceでも弊社の幹部が話していたが、セキュリティの独立企業というものは今後集約されていくだろう」と話す。ITユーザーもワンストップですべてを提供してもらいたいと考えるようになっていることから、セキュリティのみを提供するよりも、インフラを提供する企業の一部となる方が理にかなっているというのだ。「RSAとしてベンダー中立性を保つことも強みかもしれないが、やはり大手の傘下に入った方が財務面でも長期的に安定しており、顧客への保障にもつながる」と山野氏は述べた。

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