業務支援系ソリューションとしてのGroove
リコーでは、Lotus Notes/Dominoの導入、開発、運用ビジネスで培ったノウハウを、Grooveにも応用できるとする。ただ、それを単純に「NotesからGrooveへの移行を促す」という形で提供することは考えていないようだ。
「われわれは、NotesやGrooveなどを含む、メッセージング、コラボレーション、グループウェアなどの、いわゆる情報系のシステムを“業務支援系ソリューション”というカテゴリで考えようとしている。このソリューションは、企業内に基幹系のシステムが存在していることを前提に、それと連携し、十分に活用することを目的として、その周囲に構築されるシステムといったイメージになる。このソリューションに使われるツールは、業務がきちんと支援されて、効率よくビジネスに生かされるものであれば、実は何であっても構わない。リコーは、そうしたものの提供ノウハウやサポートノウハウを以前から持っている」(佐藤氏)
こうした業務支援のための情報系ソリューションが現れ始めた当初は、1つのツールを全社的に導入し、あらゆるニーズをそのツールの上で満たそうとする考え方が、ベンダー側にもユーザー側にもあったという。しかし、現在では、必要とされる機能に応じて、最適なツールを選び、適材適所で使い分けるといった考え方が主流になりつつある。つまり、Grooveは既存のツールを置き換えるためのものではなく、そうした「業務支援系ソリューション」の一部を構成するビルディングブロックのひとつとなるはずだというのがリコーのスタンスだ。
社外コラボレーションのための強力なツール
では、リコーが考えるGrooveの「強み」はどこにあるのだろうか。佐藤氏はその最大の強みを「社外とのコラボレーション環境構築の容易さ」であるとする。
昨今、社内の部署間だけでなく、社内のある部署と社外の企業との間でチームを構成して、プロジェクトを進めるといったケースも珍しくなくなった。一方で、情報統制などのニーズも高まっており、既存のグループウェアやメッセージングツールなどを利用して、そうしたプロジェクトチーム向けのコラボレーション環境を構成しようとする場合には、多くの手間がかかってしまうといった状況がある。Grooveによって構築されるコラボレーション環境は、そうした問題を解決しうるものであるという。
そのほかにも、Grooveをベースとしたアプリケーション開発のポテンシャルの高さ、処理できるデータ量の大きさなど、Grooveならではの強みを生かしたソリューションをユーザーに対して提案していくという。
2006年11月末に企業向けにライセンス提供が開始された「Office 2007 Enterprise」には、標準でGrooveのライセンスが含まれている。つまり、現在は同製品のライセンスを購入したユーザー企業に、徐々にGrooveを利用できる環境が広まりつつある段階ともいえる。リコーでは、他社に先駆けて、Grooveを使い始めるための基本的なテンプレートのパッケージ化や、導入支援、運用サービスなどを準備しはじめている。これまでのグループウェアビジネスで培った基盤を利用しつつ、ユーザーのコラボレーション環境に生まれる新たなニーズに、迅速に対応していきたいとする。