万川集海 第14回:井戸と水道--ストレージ統合のお話

東山雄一(日本IBM) 2007年04月19日 08時00分

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占有? 共有?

 私事で恐縮だが、私の実家では井戸を使っている。それを非常に良いことのように思う人もいるだろうが、本当にそれが良いかというとなかなか判断が難しい。もちろん水道料金はかからないし、水は使い放題だ。塩素は入っていないし、ある意味おいしい水がいつでも手に入るのである。しかし社会的効率の観点ではどうだろうか。

 隣人宅からならそれほど遠くもないのでこの井戸を共有することも可能だが、2軒先、3軒先となると水の経路を用意するだけでもちょっと厄介で、結局必要に応じて別の井戸を掘ることになるだろう。しかし地下水は無限に流れているわけではなく、大勢で取り合ってしまえば水源の枯渇や、果てには地盤沈下といった事態が発生する。

井戸 占有の井戸か、共有の水道か、それが問題だ

 また、大雨の直後などは水が濁ってしまうこともあり、この場合は水を沸騰させずに飲むのは不衛生この上ない。そもそも水源が汚染される可能性もある。もちろん今ではポンプで水を汲み上げ、ろ過器を通して水を使用しているが、便利に安心して使おうとするとそれなりに費用が発生する。

 では、水道はどうか。一昔前なら特に都会の水道は臭く、まずいことで有名だった。しかし、最近では高度浄水施設の整備が進み、農薬などからくる化学物質や微生物も除去されるようになり、ペットボトルに詰められた水道水が売られるまでになってきた。複数の水源から水を引くことも可能だし、渇水に備えてダムに貯めた水を使うこともできる。水は水道にまとめてしまったほうがスッキリするし、各戸で井戸を掘るよりは社会インフラ運用の観点ではるかに効率的である。

まとめると安心でお得

 話の軸をコンピュータの世界に移そう。昔はストレージのサイズが小さかったこともあり、1台もしくは2台程度の大型メインフレームが、多数のストレージを占有して使っていた。当時はそれで大きな問題はなかった。田舎の空き地に工場が1つ建った場合、水道を引くのではなく地下水を汲み上げて利用するケースが多いのと同じだ。

 しかし、今は1つ1つのシステムが小規模で、それぞれが独立して使われていることが多くなった。最近はM&A(企業の買収や合併)や組織の統廃合、効率化などでシステムを統合したいという話も多くなってきたが、1種類のコンピュータしか使っていないならいざ知らず、1つの企業や組織の中で、Windows、Linux、UNIX、それにメインフレームだって使われているのだ。こうした環境を改善し、雑多で異なるサーバを少数のサーバで統合したいと思っても、いったいそんなお金や時間がどこにあるのだろうか。お金や時間があっても、困難であることには違いない。

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