運用の負荷が課題?--VoIP導入までの4つの障壁を考える - (page 3)

文:Deb Shinder 翻訳校正:吉井美有

2007-05-29 08:00

 もちろん、こういった問題への答えはある。必要な知識を備えたコンサルタントであれば、VoIPネットワークの初期設定を支援することができる。あるいは、企業はVoIPサーバの購入にまつわる厄介な問題や初期コストを削減するために、VoIPホスティングサービスを利用することもできる。しかし、こういったこともまた、VoIPへの移行コストを押し上げ、VoIPの主なメリットの1つであるコスト削減効果を損なうことになる。

セキュリティ

 最後に、企業はIPネットワークにおけるセキュリティ上の脆弱性に関する数々の報告への対処を余儀なくされており、通話の妨害や盗聴のリスクが懸念材料となっている。さらに、VoIPネットワークとデータネットワークを統合することによって、脆弱性の新たなレイヤが付加されることも懸念材料となっている。

 従来の電話であっても悪意のあるユーザーに盗聴される可能性はあるものの、そういった盗聴は通常、物理的なアクセスを必要とするため、(少なくとも政府機関の関係者以外にとっては)かなり難しい行為となる。また従来の電話を用いた通信は、電話会社という1つの企業体によってコントロールされている専用の回線を通じて行われる。これに対して、VoIPパケットは「インターネットの雲海」の中に出ていき、数多くのさまざまな場所で数々のルータやサーバを通り抜けることになる。

 暗号化やその他のセキュリティメカニズムを利用することで、VoIPをPSTNよりもさらにセキュアにすることが可能である。しかしここでもまた、企業の認識を打開する必要がある(そしてもちろん、セキュリティメカニズムの強化はコストの増加を意味している)。

まとめ

 VoIPは確実に根付いてきている。しかし、その存在がユビキタスなものとなるためには、このテクノロジが乗り越えなければならない障壁がまだ存在している。VoIPプロバイダーは、信頼性やサービス品質の問題に取り組むとともに、VoIPの実装につきものの複雑さと紛らわしさを低減し、セキュリティに関する懸念に取り組む必要がある。そして同時に、VoIPのコストを、従来の電話サービスにかかるコストよりも低く抑えておく必要もある。

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