Second Life 新世界的ものづくりのススメ--その15:余剰スペースで遊ぶパート2--カフェの装飾

大槻透世二(サイバーアドベンチャー株式会社) 2007年05月31日 08時00分

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(前回よりつづく)

 「実は企業のSecond Life支店にはあまり人がいないの」

 私は顔色が変わったのを感じた。昨夜からあまり寝ていないせいもあって、疲れが一気にやってきたような気がした。彼女は、その理由を続けた。

 「企業の島は、一度行くと用が済んでしまうことが多いの。だから一度訪れた人は、再度訪れることをしないわ。そもそも、企業のPR島になんて、よっぽどのことがないと行かないんじゃない。企業の島に人がいない理由、それはね、そこに行く理由がない場合が多いからなの」

 確かにそうだ……。

 「例えば、ウェブサイトでもそうよね。情報サイトならともかく、企業のサイトを見るのなんて、採用情報を見たい学生くらいのものよ。同じように、企業の島に頻繁に行くということは、あまりないと思うわ。Second Lifeには、他にも楽しいところがたくさんあるんだし」

 な、なんと……。

 「例えばね、よくニュースなどで紹介されるNissanの島にはどれくらい人がいると思う?」

 「う〜ん、どうだろうか。島に30人〜100人くらい入れるんだったら、常時50人くらいはいるんじゃないかなぁ」。私は何の気もなしに答えた。しかし、彼女の口から出た言葉は衝撃的だった。

 「そう思うでしょ。実はね、だいたい5人くらいってとこなのよ」

 「何っ?」。私は予想外の答えに目を丸くした。常にパブリシティに登場し、成功しているといわれるNissanの島でさえそうなのか。

 「でもね、この来訪者数が必ずしも人気度を表す指標ではないの。なぜなら、入場者数が限定される島において、車に興味のある人達が5人常に滞在しているのと、他のアバターを攻撃するような人達が常に10人いるのと、どちらがNissanにとっての成功と言えるかしら」

 確かにそうだ。一概に来訪者数だけが指標ではない。そして、彼女は続けた。

 「だいいち、今までのウェブサイトでは、訪問者数が外部から見えなかっただけなのよ。見ることができるのは、サイト運営者だけだったの。それに比べてSecond Lifeでは、『今、何人が訪問しているか』が、誰にでもわかってしまうの。アバターが互いに訪問者として認識できてしまうからね。だから、この企業の島はいつ来ても人がいないなぁというのは、今のユーザー数から考えれば、当然といえば当然のことなの。それを、人気がないとか、ゴーストタウン化している、というのは少し違うわ。ただ単にウェブサイトでは外から認識されにくい『アクセスの少ない状態』が、Second Lifeの島だと、『アバターが少ない状態』として容易に認識できるというだけのことなのよ。一般のユーザーにとって企業のPR島は、行く理由があまりないし、行ったとしても2回も行く理由もないから」

 なるほどっ!企業の島に人がいない理由はそういう理由だったのか。だが、そうだとしたら、私が今作っているものは無駄なのだろうか?どうすればいいのだろう。その時、彼女は、私の考えを読みとったように続けた。

 「そこではね、ウェブとは違った新しい考え方と新しい指標が必要なの。それはね……」

 私は彼女のすこし悪戯っぽい顔を真剣に見つめながら次の言葉を待っていた。

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