第3層(レイヤ3)は、インターネット層(ネットワーク層)だ。これはよく耳にする「TCP/IP」の「IP」が含まれる重要な階層である。このレイヤは、データリンク層が通信できる同一ネットワークの範囲内を超えたノード間、すなわち異なるホスト間で通信ができる。
その基盤となっているのが、「IPアドレス」と呼ばれるプロトコルである。IPアドレスについては次章で詳しく話す。今の時点では、「IPアドレス」とは、言ってみれば郵便番号や住所、名前を表すIDだと認識してもらえればと思う。また、この層は、データリンク層から受け取ったフレームに、宛先や送り先のIPアドレスを付与してトランスポート層に送り、逆にトランスポート層からのデータをデータリンク層へ渡す役割も担っている。
このIPアドレスを利用し、最終目的地までの「ルーティング」(経路制御)を行う。ルーティングとは、各ノード間でどの機器を経由し、どう最終目的地までに達するかという道のり(経路)を決め、データを届ける作業である。このルーティングには、「RIP」(Routing Information Protocol)や「OSPF」(Open Shortest Path First)といったプロトコルがあり、それぞれ経路の決め方などが異なる。
ルーティングを行う機器は「ルータ」と呼ばれる。ルータを扱うネットワーク機器ベンダーは多く、ノーテルでも「Secure Routerシリーズ」を販売している。最近のルータの傾向をみると、単にルーティングをする箱から、セキュリティ機能等を付加したタイプも数年前から出始めている。
次のトランスポート層では……と行く前に時間が来てしまったので、今回はここまでとする。次回はトランスポート層を説明する。
筆者紹介
宮本健一(みやもと けんいち)
ノーテルネットワークス エンタープライズアンドチャネルズ営業本部
エンタープライズマーケティング プロダクトマネジャー
担当製品:
L4-7スイッチ、セキュリティ製品、他
経歴:
1998年某大手通信事業社入社。法人営業、通信機器マーケティングを経て、2005年11月ノーテルネットワークス入社。現職へ。
一言:
Web 2.0、SOA、SaaS等とアプリケーション分野では新たな波が押し寄せており、それを支えるネットワーク分野も革新が行われています。新たなテクノロジーによる、新たなマーケットの創造を考えつつ、自分の知らない世界(分野)については、こっそりと「超基礎」コーナーから勉強する。そんな日々のギャップを密かに楽しんでいる今日この頃です。