「MSやグーグルには負けない」--EditGridはオンライン表計算ソフトの革命児となるか

藤本京子(編集部) 2007年07月25日 22時02分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米Red Herringが京都にて開催したカンファレンス「Red Herring Japan 2007」では、同社が選んだ優良ベンチャー企業のプレゼンテーションが次々と行われた。その優良ベンチャーの中には、「EditGrid」というオンライン表計算ソフトを提供する香港のTeam and Conceptsが含まれていた。

 Team and Concetsの会長 David Lee氏が友人らと共に同社を立ち上げたのは2003年2月のこと。まだ香港大学の学生だった頃だ。最初に開発した製品はイベント管理システムで、同社の最初の顧客となったのは母校の香港大学だ。その後、同社はEditGridの開発を手がけ、2006年4月にパブリックベータ版を提供開始した。Googleが「Google Spreadsheets」を発表する2カ月前だ。そして2007年6月、同社は米ベンチャーキャピタルのWI Harperより125万ドルの資金調達を受ける。

Lee氏 「Microsoft Excelよりいいものを作る」とDavid Lee氏

 Lee氏はEditGridについて、「Microsoft Excelと同じようなものだが、もっと便利なものが作りたかった」と話す。オンラインでこのサービスを提供する利点について同氏は、「ネットワークアクセスさえあればどこでも使うことができ、リアルタイムでコラボレーションができる」と話す。また、APIを公開しており、ユーザーはさまざまなオンライン上のサービスとEditGridをマッシュアップしている。

 例えば、ユーザーがEditGridを利用して一般に公開している表のひとつに、株価比較シートがある(下図参照)。これは、他のサイトで公開されている株価のAPIとEditGridをマッシュアップし、株価を随時アップデートして表示している。Lee氏は、「Bloombergの株価情報よりこの表を見る人もいるほど人気のある表だ」と話す。

 この株価の表は、所有者以外に編集権限は与えられていないが、EditGridは複数人数で編集作業することもできる。複数ユーザーが同時に編集している場合も、変更された部分はすぐに全員の表計算上に反映される。また、他人に編集されたくない部分は、セルをブロック指定して他人が編集できないよう設定することも可能だ。編集履歴では、セル単位で誰が編集したかがわかるようになっている。

 2007年2月にEditGridはベータ版から正式版へと移行した。正式版の発表と同時に、これまでの一般ユーザー向けの無料版に加え、ハイエンドユーザー向けの有料版も提供開始した。有料版では、セキュリティ向上のための暗号化機能やアカウント管理機能などが備わっており、月額5ドルで提供している。

 有料版は、EditGridから直接申し込むことも可能だが、同社ではパートナー各社にEditGridを提供し、パートナーを通じた販売に力を入れている。パートナーには、オンデマンドプラットフォーム企業のSalesforce.comや、オンラインオフィスソフトを提供するThinkFree、オンラインコラボレーションツールを提供するCentral Desktopなどがいる。日本初のパートナーとしては、7月25日にインフォテリアとの協業を発表したばかりだ。インフォテリアでは、「OnSheet」としてこのサービスを提供する。

 Lee氏が最初に意識したMicrosoft Excelはもちろん、同様のサービスはGoogle Spreadsheetなども存在するなどライバルは多い。こうしたライバル企業に脅威を感じないのかとの問いにLee氏は、「われわれは表計算という分野にフォーカスしている。多くの分野に手を広げるのではなく、ひとつのことに注力するからこそ最高級品を作ることができる」と強気な姿勢を見せた。今後はMicrosoft Excelとリアルタイムコラボレーションができるような機能や、モバイル機能も強化するという。「われわれは表計算分野でイノベーションを続ける。イノベーションを続けることで勝つ」(Lee氏)

 Lee氏は、自分を含め創業仲間のことを「単なるオタク集団だ」と笑う。だがその笑いは、オタクだからこそこの分野では決して他に負けないという自信にあふれているようにも見えた。

EditGrid EditGridの1ユーザーが作った株価比較表
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
クラウドコンピューティング

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

  • 「奉行シリーズ」の電話サポート革命!活用事例をご紹介

    「ナビダイヤル」の「トラフィックレポート」を利用したことで着信前のコール数や
    離脱数など、コールセンターのパフォーマンスをリアルタイムに把握するに成功。詳細はこちらから

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つプレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!